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ヒットの仕掛け人

女性の本音拾いシェア30% 資生堂の化粧下地

資生堂「フルメーク ウォッシャブル ベース」

長野種雅氏
国内化粧品事業部マーケティング部 コンシューマーマーケティング室
愛知県出身。2000年に資生堂に研究員として入社。ヘアやメンズ商品の開発、マーケティングを担当。趣味はフットサル、ギターを弾くこと。

ヒットの秘訣は消費者の本音を拾うこと。今回の商品は「仕事後のメーク落としがおっくう」「子育て中でなかなか時間が取れない」「海や温泉、ジムへクレンジングを持っていくのは荷物になる」......といったインサイトを突いて支持を広げている。2013年2月の発売から出荷個数200万個超えに至った商品が生まれたのは、ある女性社員の発言からだった。

今回の仕掛け人は、国内化粧品事業部マーケティング部コンシューマーマーケティング室の長野種雅氏。SNSによる口コミ拡散を狙ってウェブサイトで先行発売した後、テレビCMと大規模な店頭プロモーションで垂直立ち上げに成功。今後は、「お湯で本当にメークが落ちるのか」というユーザーの不安を払拭することが課題。

2012年12月ウェブサイトにて先行発売。翌13年2月より店頭販売開始。メークの前に化粧下地として使うことで、その上に重ねたメークをお湯になじませるだけで落とすことができる。

女性担当者の悩みに市場ニーズを重ねて商品化

――重ねたメークがお湯で落とせる世界初めての化粧下地「フルメーク ウォッシャブル ベース」の開発に至った経緯を教えてください。

長野▶ 当時、私と一緒に商品開発を担当していた女性が「疲れて家に帰ると、メークを落とすのも面倒なんだよね」とよく話していました。私も彼女も研究所出身なのですが、ブレストを重ねるうちに「帰ってすぐにお風呂に入って、シャワーのお湯でメークを落とせたらいいのでは」とひらめいたのです。その方法を模索するうち、「化粧下地をお湯で落とせれば、上に重ねたメークも一緒に落とせる」と考えついたのが発想の原点です。メークをより簡単に落とそうと考えた場合、メーク落としの機能を改善しようとするのが常ですが、そうではなく、化粧下地にメーク落としの機能を持たせたことがこの商品ならではの特徴です。

――従来のメーク落としとはアプローチが異なるわけですが、開発における苦労などはありましたか。

長野▶ 技術面では、どうすればお湯で気持ちよくメークが落とせるのかに最も気を遣いました。また、メーク落としでありながら、化粧下地としての機能もしっかりと持たせることにも苦心しました。一方でソフト面では、社内を説得して開発にこぎつけることに苦労しました。というのも、資生堂は従来から「メークはメーク落としを使って落とすもの」とお客さまに提案してきました。そこへ「メーク落としを使わずにお湯でメークが落ちる」という商品を提案したので、「本当にメークが落ちるのか」という懐疑的な声が起こるのは、不思議なことではありません。また、この商品は資生堂にとっても新たなチャレンジでもあったため ...

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