串カツ田中とunoが異色のコラボ プロの企画書を公開
ファイントゥデイが展開する「uno」は2024年11月1日、串カツ田中ホールディングスとのコラボ企画「#男もアゲるコラボ」を開始した。
マル秘公開 これがプロの企画書だ!
ADK ストラテジックプランニング本部 シニアプランナー
藤本耕平氏
1980年生まれ。一橋大学卒業。2002年、ADKに入社。入社から現在まで、12年間マーケティング業務に従事。担当クライアントは若者をターゲットとしたブランドが中心。ADK若者プロジェクトリーダー兼務。「ワカスタ」創設。外部セミナーの講演や雑誌記事連載、大学非常勤講師などの活動も実施。【受賞歴】カンヌ国際広告祭、スパイクスアジア広告祭ほか
一昔前は、持っていることがステータスと感じるような存在であったラグジュアリーブランドですが、今では単なる「憧れ」や「かっこいい」では動く若者は少なくなりました。お金を消費する上で、非常にコストパフォーマンス(コスパ)を気にしますし、ファストファッションの普及により、安価でそれなりのおしゃれを楽しめるようになったことも若者のラグジュアリーブランド離れの原因として挙げられます。また、「人よりも目立ちたくない」「おしゃれもヒトヒネリくらいがちょうどいい」といった若者特有の価値観からも、高級ブランドに対して、価格に見合う価値を感じていない若者が多いというのが現状です。
従って、このキャンペーンでは、ターゲットである若い女性たちに、ラグジュアリーブランドの価格を支払ってもいいと思う「言い訳」をつくってあげることが成功のカギと考えています。現段階では、その価格に見合う価値を見出せていない彼女たち。なぜ自分がその価格を支払ってもいいのか、自分自身を納得させるだけの「言い訳」が彼女らを動かすポイントとなります。その上で重要なのは、彼女たちの生活の文脈に入り込んで「言い訳」探しをすること。ラグジュアリーブランドとターゲットの心理的距離は非常に遠いので、どれだけ彼女たちに共感される「言い訳」をつくれるかという視点で、今回キャンペーンをお持ちいたしました。
では、実際にどんな「言い訳」があればターゲットを動かす原動力になるのでしょうか?ラグジュアリーブランドを買った経験のある大学生に聞いてみると、「気分がアガル」ことに価値を見出している人が非常に多かったです。例えば、「ティファニーはかわいいのはもちろん、買った時のあの青い箱でテンションが上がる。あれで元はとった感じ」など、気分の高まりを感じたことで高額な消費に見合う価値を感じていました。また、「好きなバッグを持っていると1日がハッピーになれる」という価値で納得している人もいました。これらの声からも分かるように、彼女たちを動かす「言い訳」として、“気分がアガル”という視点は有力なようです。今回はその視点でキャンペーンを考えてきました。
若者たちは非常にコスパを意識した消費をします。デフレ環境下で育ってきた影響もあり、自分が支払った対価に対する見返りを重視します。だからといってお金をかけずつまらない毎日を過ごすということではなく、自分たちの工夫次第でどう最大限の高揚を手に入れられるかを考えています。だから、ただ漠然と「とりあえず海外旅行したら気分アガルね」ではなく、「海外に行かなくても、みんなでおそろいの服を着て出かけたら絶対テンション上がるよ!」といった思考回路なのです。彼らの気分の上げ方の一つとして、「衣装を工夫する」という手段が定着しています。このインサイトを利用して、ラグジュアリーブランドの存在意義を確立していきたいと思います。