
イラスト:高田真弓
公式動画では、企業や自治体のスタッフたちが楽しそうに踊る様子が見られる。みんな表現したいのだ。
先日、某劇場の支配人がこう嘆いていた。「最近は表現したい人がたくさんいて、それを見たい人が全然いない時代」
そう、今はSNSなどで誰もが表現者になれる時代。一度、その楽しみに目覚めた彼らは、以前のように一観客でいることに満足しない。結果、いわゆる目利きと呼ばれる客が減り、相対的に演者も評価される機会が減るという悪循環――。
だが、そんな風潮を逆手にとって大成功したケースもある。AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」がそうだ。
かの曲、昨年6月に行われたAKB48グループの選抜総選挙で、HKT48の指原莉乃が1位を獲得し、彼女をセンターに2013年8月21日に発売されたシングルである。発売週に早々にミリオンを達成し、彼女たちの19枚目の1位となった。ここまでの流れはいつもの通り。同グループのシングルはいわゆる“握手会”商法。CDには初回特典として握手券が同封され、ファンたちは自分の推しメンと何回も握手したいがために、同じCDを何枚も買う。だから発売週に爆発的に売れるが、収束も早い。一カ月もすれば、メディアの露出も激減する。
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