主力である「カラオケの鉄人」など、幅広くエンターテインメント事業を展開する鉄人化計画。最近は、カラオケのコミュニティを作れるSNSサービス「ohaco」を提供し、この4月には、アーティストのプロモーションやイベント企画を主とする子会社「パレード」も設立。業界の常識にとらわれず、顧客目線の新たなサービスを次々生み出す同社の現場力とは?

鉄人化計画 代表取締役社長 堀 健一郎氏
神奈川県出身。アサツー ディ・ケイを経て、2000年にエイベックス(現エイベックス・グループ・ホールディングス)に入社。05年にエイベックス・マーケティング取締役に就任。マーチャンダイジングやコンテンツ配信事業などを統括、BeeTVの立ち上げなどを担当した後、エイベックス・グループ・ホールディングス執行役員/デジタル戦略室副室長を経て、13年に鉄人化計画へ入社。同年9月より上席執行役員最高執行責任者(COO)となり、現在に至る。海を見ること、マリンスポーツが趣味。
堀社長にとっての現場力とは?
私にとっての現場力とは、とにかく「話を聞くこと、足を使うこと」です。現場で働くスタッフと面談し、実際に店舗を訪れてみる。どんな人が働いていて、どんなお客さまが来てくださっているのか、そのすべてを自分の目で確認します。それは店舗の良くないところをチェックするためではなくて、「会社全体のムードを確認する」という意味が大きいのです。そもそも、個別の店舗の良し悪しの前に、会社自体が停滞ムードだったら、現場にも表れてしまいます。これはどの業界も同じでしょう。
現場をしっかり見ておけば、例えば店舗のリニューアルを決定する際など、報告書だけでは見えないことも分かる。「その店舗は今どういう状態にあるのか」ということをしっかり理解して、現状を把握したうえで意思決定することができます。
現場に足を運んで、現場を目で見て、現場の人と話をする。それを積み重ねていくことが私の現場力ですね。
顧客と直に接する店舗の現場において大事なことはなんでしょうか?
やはり大事なことは「チーム力」だと実感しています。我々ようなの業態では、店長の力が店舗全体に大きな影響を与えます。しかし、一口に店長といっても、「入社1年目の新米店長」もいれば、「10年戦士のベテラン店長」もいるわけです。当然、新米とベテランとでは、個人として培ってきたノウハウや重ねてきた経験に大きな差があります。今までの当社の課題は、店長個人の力で売り上げの差が大きくできてしまうことでした。こうした、いわば「個人商店の集まり」のような組織ではなく、ノウハウを共有し、ベテランも新米も皆でレベルアップを図れる組織にするには、チームという意識を持たせることが重要です。