ロックバンド「X JAPAN」のリーダーYOSHIKI氏を描いた絵画が2013年10月、動画を活用したECサイト「VAULT(ボルト)」で販売された。価格は14万9000円。当初の予想を大幅に上回る販売枚数となった。動かない絵画を、どのように動画を使って訴求したのか。「VAULT」を運営する楽天グループのスタイライフに聞いた。

高級絵画をECサイトで販売
米国のビデオコマースサイト「VAULT」の日本版が2013年11月に開設された。同サイトの特徴は、動画を通して商品のストーリーや世界観を表現し、ユーザーの潜在的なニーズを刺激していること。ターゲットは、目的買いのユーザーではなく、自分の感性に合うものを探して来訪する衝動買いユーザーである。
「VAULT」の運用開始に先立ち、プレオープンを記念してサイト上で予約販売したのが、音楽家YOSHIKI氏の肖像画だ。描いたのはコンラッド・リーチ氏。世界の著名人を独自の手法で描いてきたアーティストだ。
販売に合わせて、YOSHIKI氏とコンラッド・リーチ氏の対談メイキング動画を渋谷パルコのイベントスペースで放映した。楽天のトップページにバナー広告で告知したほか、SNSでも情報を拡散。楽天の公式LINEでは1万人を超えるユーザーからの反応があった。10月18日の販売開始以降、当初の予想を大幅に上回る販売数を記録した。申し込みから商品が手元に届くまで2カ月近くかかったが、キャンセルは0件。短納期、送料無料などがユーザーに響きやすい目的買いのECサイトとは異なる購入のされ方となった。
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