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ダイレクトマーケティングのフロントライン

サントリーウエルネスのダイレクトマーケティング(前編)

文:大広 ダイレクトマーケティング総合研究所 所長 松浦信裕氏

ダイレクトマーケティングビジネスは成長を継続しつつも、近年大きな端境期を迎えている。この連載では、その最前線をリードする企業の方々を招いて、現場で起きているさまざまな変化とチャレンジをレポートする。第1回は「メーカー通販」の世界で追随なき成長を続けるサントリーウエルネスの川崎益功社長。その前編をお届けする。

サントリーウエルネス 代表取締役社長 川崎益功氏 (かわさき・ますお)
1983年サントリー入社。マーケティング部門にて飲料・ビールの商品開発を担当した後、2000年より健康食品の通販ビジネス立ち上げ。以降一貫してダイレクトマーケティングにかかわる。09年4月より現職。

DMは「見晴らし」が良かった

メーカー通販は成功しないという俗説などもろともせず成長を続けていますが、まず社内起業とも言えるほど異質なダイレクトマーケティング(以下、DM)ビジネスを志向した動機は何ですか?

見晴らしが良いからです。私は住まいもホテルも、窓からの見晴らしが良いのが好きなんです(笑)。

典型的なマスマーケティングはダイナミックな魅力がある一方で、活動と成果の因果関係がつかみ切れない部分もあり「見晴らしの悪さ」がどうしても残る。そこが醍醐味(だいごみ)でもあるわけですが、私には本質をつかみきれない気持ち悪さがあったんです。

その点、DMはサイエンスマーケティングです。新たなアイデアもテストを通じて結果が検証できる、それが再現されるのだから先が読めます。この見晴らしの良さは、霧が晴れたような、視界が開けた感じがしました。それがこのビジネスをスタートした時の大きな動機でした。また、健康食品という商品の特性を考えると、モノやスペックを売るだけでは価値の伝達が成り立たちません。その先にあるもの、商品がお客さまに提供できる「健康」という価値をトータルにつくり上げ、伝え切る仕組みを考えた時に、ダイレクトしかないなと思ったわけです。

顧客と向き合い目線を合わせる

しかし、顧客と直接向き合う現場は喜びばかりではなく想定外の困難や苦しさもあったのではないでしょうか?

すごいものをしょい込んでしまったなと。とにかく毎日いろんなことが起きます。お客さまがそこにいる以上、時と場所を選ばず全部対応しなくてはなりません。DMはある意味、メーカーでありながら小売業でもあるので、お客さまとの間にクッションがない。"直接お客さまと向き合う醍醐味と大変さ・困難さをセットで引き受ける"と、腹をくくる必要があります。さまざまなメーカーが次々とDMにチャレンジしていますが、成否を分かつ分岐点は結局、この"商売人"としての愚直な覚悟なのではと思います。これは企業が取り入れている洗練された合理的分業体制とは対極にありますからね。だから、会社の隅々にまで商売人の姿勢を浸透させ、日々の現場で実践し継続していくのは難しいのです。

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