通常商品よりも甘さひかえめ。姉妹商品「きのこの山」の大人バージョンもある。
2013年は「大人の」という枕詞の付く商品をよく目にした。「大人の」と前置きする通り、もとは子どもや若年層をターゲットにした商品をベースにしているため、菓子や飲料などの身近な商品に多いようだ。
こういった特定のターゲットやシーンを切り取った市場は、毎年何らかの形で登場する。例えば、「朝専用」「夜専用」「健康」「B級グルメ」「お店の味」といったさまざまな区切りが存在する。共通するのは、カテゴリーを超えて商品が登場し、大小差はあるもののブームになる点だ。マーケターは、この流れをいち早く捉え、自社ブランドの価値創造のチャンスとして活用することが求められる。
こういったブームを生かすためのパッケージデザインは、どうあるべきであろうか。ポイントは、「みんなで共通のトーン&マナー(トンマナ)をつくる」ことである。
1979年に発売された「たけのこの里」(明治)は、竹やぶのある農村が描かれたパッケージでおなじみのロングセラー商品だ。このブランドから13年9月に、「大人のたけのこの里」が発売された。「大人の上質な時間に溶け込むデザイン」(プレスリリースより)を目指したという通り、同商品のパッケージは全体がダークトーンでまとめられ、天面のビジュアルは上質な木製のテーブルに、ぼかしをかけた暗めのシズルカットで奥行き感が演出されている。竹をモチーフにした従来のブランドロゴはシルエットだけ生かし、金色で配置することで、全体の雰囲気に調和しながらも沈まずに目を引いている。明朝体の「大人の」というコピーに続けても違和感がない。また、側面にはブランドカラーの緑の中でも品質感のある色を選び、ブランドを想起させる格子模様もうっすら見える。天面から5mmほどはみ出して見えるこのブランドカラーがアクセントになっている。実に完成度の高い、考え抜かれたパッケージデザインである。