“本質”の価値訴求(ほんしつのかちそきゅう)
ブランドイメージや安売りによる訴求とは異なり、その商品だからこそもたらされる実質的な価値、商品の本質をセールスポイントとして差異化を図ること。
商品を賢く選択する消費者志向
2013年のヒット商品を振り返ると、コンビニエンスストアの本格コーヒーやコンビニやスーパーの高級PB商品が上位に入った。手軽に利用できるのに品質は本格的なもの、納得感が得られるものに支持が集まっている。ブランドイメージや価格の安さだけでなく、消費することで得られる実質的な効果、コストパフォーマンスを吟味し、良品を選択しようとする消費者志向の表れだろう。
コストパフォーマンスを常に計算し、賢い消費をしようとする実質志向は若年層に顕著だ。世代・トレンド評論家の牛窪恵氏によれば、安さよりコストパフォーマンス、見栄より快適性や悪目立ちしないかに注力するのが、さとり世代(1987~96年生まれ)。右肩下がりの日本経済しか知らない同世代にとって、ステイタスの名のもとにイメージでモノを買うバブル世代(1959~70年生まれ)の消費は理解し難く、本当に買う意味があるのかを見極めて賢く買うことを重視する。「コスパ消費をするさとり世代の影響を受け、親にあたるバブル世代も、効果実感の得られる商品に目を向けるようになっています。ブランドイメージの構築を得意としてきた大手メーカーも、購入することの意味や効果を訴える売り方を取り入れてきています」と牛窪氏は指摘する。「この買い物は間違っていない」と購入の後押しをしてほしい消費者にとって、買う意味のある商品であること、商品の本質を分かりやすく伝達する売り方は有効だ。