
「日本のモノづくりにお金が回る仕組みをつくりたくて、日本百貨店の事業を始めた」と鈴木氏。
180坪の売り場に設置された陳列棚には、バイヤーでもある同氏が買い付けてきた各地の特産品が並ぶ。
7月5日、JR秋葉原駅と御徒町駅間の高架下に、「日本の食」をテーマとした商業施設「CHABARA(ちゃばら)」がオープンした。その最大のテナント「日本百貨店しょくひんかん」では、全国の特産品などを生産者から直接買い付け、東京だとここでしか手に入らない商品も扱っている。イベントや実演販売に力を入れ、「日本の食のテーマパーク」を目指す。
2010年に1号店をオープンした「日本百貨店」は、「作り手と使い手の出会いの場」をテーマに、日本各地の職人による商品を扱うセレクトショップだ。中でも5号店となる「しょくひんかん」は、同じコンセプトのまま食品に特化している。
特徴は、購入者と生産者が接する場を提供するために設けたイベントスペースだ。ここでは2週間単位で、その時々の旬の食材を、生産者やメーカーの担当者自身が販売。さらに、例えば飴細工職人による実演販売やしょうゆづくりのワークショップなど、体験や学びを促すイベントも不定期で開催している。同店を運営するコンタン 代表取締役の鈴木正晴氏は、「大量生産品と比べて高価格な商品が多いので、その価値をお客さまに理解してもらう必要があります。そのため、作り手や店舗スタッフが、商品の背景にある思いや伝統などのストーリーを伝える場を重視しているのです」と話す。
また、商品の陳列にもこだわりがある。現在同店では約40の都道府県の商品を扱い、基本的には産地ごとに並べているが、しょうゆなど一部の商品は専用の棚を設置。「『全国大会』のつもりで各地の競合商品を集めているので、比べながら好みの一品を探してほしい」と同氏。あえて余白を設けずに商品を並べるのも、宝探しのような楽しさを演出するためだ。