2013年にヒットした商品の傾向の一つが「高機能・高付加価値」だ。こちらの記事でも触れている通り、「ノンフライヤー」をはじめとする“黒船家電”のほか、既存商品より多少価格が高くても、機能性や新規性が理解されれば売れている。ここでは、メーカーがそういった商品価値をどのように消費者に伝え、ヒットにつなげていったのかを探る。
商品パッケージにはエリエールブランドで初めて金色を使用し、商品の新規性を表現。
価格競争に陥らない
付加価値品の開発に注力
大王製紙が3月に発売した「エリエール 消臭+トイレットティシュー」は、香り付きトイレットペーパーの芯に消臭機能を備えた新機軸の商品。10月に初めて、発売時に立てた月間売上目標比111%を達成し、その後も順調に推移している。
同商品開発の背景には、トイレットペーパー市場の現状に対する課題意識があったと、商品企画を手掛けた牧野成人氏は話す。「トイレットペーパー市場は現在、8割の汎用品と2割の付加価値品で構成されていますが、汎用品は価格勝負になりがちで、他社との差異化が難しい。特に2010年頃からは販売単価の下落が顕著になっており、衛生用紙の国内トップシェア企業としては、付加価値品への注力が以前からの課題でした」。そのため、エリエールブランドではこれまで、香り付きのティッシュペーパー「香織る+」や保湿性のある「+Water」「贅沢保湿」などの付加価値品を投入してきた。
さらに、今回の新商品開発にあたってはトイレットペーパーとしての価値だけでなく、「トイレ空間の課題解決」というもう一つのテーマがあったという。「当社の調査によると、トイレ空間に対する不満の一つに臭いがあり、消臭剤や芳香剤を使用している人も多かった。“トイレ空間の総合的なプロデュース”という観点から、なるべく物を増やさずにこの悩みを解決する商品を考え、新商品のアイデアに到達しました」(同氏)。