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トップの現場力

「君は崖っぷちをのぞいたのか」145店舗を擁する「住商ドラッグストアーズ」トップのチャレンジ精神

住商ドラッグストアーズ代表取締役社長 師岡伸生氏

食品・飲料の品ぞろえを充実させ、より幅広い年代や男性でも入りやすいよう看板を青にした「青トモズ」。2012年1月より随時変更している。

ドラッグストア「トモズ」「アメリカンファーマシー」をはじめ145店舗を展開する住商ドラッグストアーズ。「かかりつけ薬局」を目標に、昨年からは、幅広い客層の利用を狙って食品・飲料の取り扱いを増やした「青トモズ」も展開。さらに高級コスメをブランドの壁を超えて陳列する新たな店舗「インクローバー」も展開。台湾にも1号店を出店するなど、新たな取り組みが続く。複数の企業との統合を経て培われた同社の現場力とは?

決定のプロセスを明確にして納得性を高めることが店頭施策の徹底につながる

師岡伸生氏
住商ドラッグストアーズ 代表取締役社長

1974 年住友商事入社。住商リテイルストアーズにて、アメリカンファーマシー、朝日メディックス、コーエイドラッグとの統合を主導。03 ~ 07年 住商ドラッグストアーズ代表取締役、07年 10月 住友商事に復帰、ライフスタイル・リテイル事業本部へ。11年2月より現職。趣味は登山、スポーツジム、ジャズ鑑賞。

貴社にとっての現場力は?

現場というと店頭だけを考えてしまいがちですが、そもそも店舗の運営というのは、店舗スタッフだけとか、本部の商品部だけでできているものではなく、販売施策なども含めてさまざまなことが複合的に絡み合っています。従って、何か施策を行おうとしたとき、かかわる人たちがある程度理解・納得していなければスムーズにいきません。だから、納得性・透明性をもって進める力が必要となります。

もう一つ、そうして決めた施策をすべての店舗、当社の場合145店舗で徹底して実施する力も求められます。例えばある商品を売ろうとしたとき、施策が実施できていない店舗があると、足並みがそろわず、成果が正しく把握できません。決められた施策を隅々まで行き渡らせる徹底力・伝達力も重要だと考えています。

これまでいくつかの会社を統合し、異なる企業文化をまとめてきました。そうした経験を踏まえ、「納得性」「透明性」を高め、皆が同じ方向を向いていくためのポイントを教えてください。

当社では、毎週火曜日の午前に「営業戦略会議」を行っています。この会議には店舗運営部、ブロック長、商品部、営業推進部、そして私も含めて営業にかかわるすべての部署の責任者が参加しています。ここでは、前週の営業状況、店舗状況に加え、商品部からは、これから導入していく商品や実施する施策についてなど、アジェンダを細かく決めて情報共有しています。また、単にそれぞれの情報を報告して共有するだけではなく、それぞれが自身の考えを言い合う「協議して決める」場にしています。

例えば「冬の風邪対策に向けて、この商品をこんな棚割りで売りたい」という提案があったとき、それについて「昨年はこの方法はうまくいかなかったので、こちらがいいのではないか?」など、参加者が意見を出して議論していく。必ず、そうした議論を経てから施策を決めるようにしています。また、この会議には毎回4人ほど店長が傍聴していて、商品を売る店舗側の意見や要望などをその場で言うようにしています。そうすると、施策を決めるまでの議論の中に関係者全員が入っているので、「なぜこの施策が重要なのか」「どのような議論を経てこの施策になったのか」ということを参加者が理解・納得できます。また、店舗側も、「これは、店長が傍聴している戦略会議を経て決まっているもの」と分かっているので施策を実施するうえで納得性があるわけです。

最終的な販売の場である店舗も参加し、それぞれが意見を出し合ったうえで決めることで透明性・納得性が生まれるから、皆が同じ方向を向けるということですね。

そうです。意見を出し合って議論する場が社内でオープンになっていて、この“営業戦略会議”で施策が決まることが明確になっています。だから、会議に出ている人には、自分の考えを言う責任があります。私も、この会議の場でいろいろな意見を聞いてそれを自分の考えていることと照らし合わせ、判断の材料にしています。そういうプロセスを経て透明性・納得性を高めているからこそ、現場も含め「決まったことをやろう!」という徹底性へとつながっていくのだと思います。

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