東京五輪・パラリンピックの開催は、日本という大きな単位ではもちろん、商業施設や商店街、個人商店などの単位でも集客につなげるチャンスを秘めている。では、そのチャンスを生かすため、7年後に向けて今何をすべきなのか。「商店街」「イベント」「スポーツマーケティング」というそれぞれ違う立場の3人が集まり、座談会を行った。

桑島俊彦氏(左) 東京都商店街連合会 会長
伊藤芳晃氏(中央) 日本イベントプロデュース協会 代議員 関東本部副本部長
野田和隆氏(右) インターナショナルスポーツマーケティング 取締役
─現在のお仕事における、スポーツやイベントとのかかわりについて教えてください。
桑島▶東京・世田谷区の烏山駅前通りを拠点に商店街の活動を47年続け、今は全国商店街支援センター 社長として全国の商店街の活性化にも取り組んでいます。商店街は苦しい状況にあると言われますが、実は日本の小売業の売り上げのうち、今でも約4割を商店街が占めているのです。特に東京には約2700の商店街があり、それぞれが年間1回以上イベントを行っていて、それが地域のコミュニティ形成に役立っています。今回の夏季五輪・パラリンピック招致に関しても商店街は、イベントにアスリートを招いたり、東京の商店街にある約4万本の街灯すべてに招致を応援するフラッグを掲出したりして、盛り上げに貢献しました。商店街が元気な街は犯罪なども少ないと言われますから、イベントによって商店街に人が集まることで、地域が抱える社会問題までをも解決できると考えています。
伊藤▶私はイベント業界の経験が長く、今回の招致も協会として協力しました。前職の丹青社では愛知万博や長野冬季五輪やイベントに携わり、主に全体のサイン計画などを担当。愛知万博では日本政府のパビリオンや海外パビリオンを多数手掛けました。今回、2020年の夏季五輪・パラリンピック会場が東京に決まったことで、国内のイベント産業の広がりに期待しています。
野田▶スポーツマーケティングの会社で、3年前に開始した「全国スイーツマラソン」というマラソン大会などに携わっています。この大会はすでに各地で13回開催し、11月に開催される千葉大会には5000人以上が参加予定です。ランニングとスイーツを同時に楽しめる、エンターテインメント性の高さが女性を中心とした若い人々に好評です。また、前職の日刊スポーツ新聞社では、スポーツイベントのプロデュースやデジタルコンテンツ事業に携わっていたので、さまざまな立場で常にスポーツの現場にかかわってきています。