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観光業だけじゃない!2020年、訪日観光客の消費需要を全業種でつかむ方法

ドン・キホーテグループ ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長 中村好明

東京での五輪開催が決定し、世界中から日本への関心が高まっている。このチャンスを生かし、訪日外国人観光客を呼び込めば、消費需要の拡大が見込めるはずだ。7年後までにどんな需要拡大が見込まれ、どう手を打っていけばいいのか。

東京五輪に向け、選手村、競技会場など、交通インフラが進むことになる
(写真提供:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

─訪日外国人観光客の2人に1人が来店すると言われる深夜・早朝営業の“驚安の殿堂”「ドン・キホーテ」。その社長室で訪日観光客誘致チームを率いてきたのが中村好明氏だ。訪日客の「アフター7」需要をつかみ、同社の訪日客数は5年間で10倍以上に伸張。店舗インフラの多言語化や訪日客の売り上げを集計する会計システム構築のほか、店舗周辺の多言語マップを制作し、海外の旅行・航空会社や国内ホテルで、同社の割引カードと共に訪日客に手渡す仕組みをつくるなど独自の訪日プロモーションを手がけてきた人物だ。現在はそのノウハウを国や自治体、民間企業へ開放することを目的に分社して、ジャパン インバウンド ソリューションズを設立し、その代表に就任。各地で訪日誘客集客のためのアドバイスを行っている。そんな中村氏は、「訪日客にとって“ドンキ”での買い物自体が観光体験。旅行会社や宿泊施設だけが観光業ではない」と話し、「だから、訪日旅行市場では国内全業種に需要拡大のチャンスがある」と強調する。

当然、幅広い業種の販促担当者にとって、東京五輪は一大チャンス。ここでは、訪日客が急増する東京五輪の機会に、どのような需要拡大が見込まれるのか、中村氏が紹介する。また販促活動を行う際、五輪に便乗せずとも売り場を盛り立てる手法についても、現場をつぶさに見てきた中村氏ならではのアドバイスを聞いた。

ハード需要だけが重要なのではない

9月8日の早朝(日本時間)、ついに2020年の五輪の東京開催が決まった。素晴らしいプレゼンテーションだった。今回の東京への招致活動を成功に導いたのは、英国のコンサル会社による高度な戦術指導によるものだったと言われている。私自身、今回ほどプレゼンの力とその重要性をまざまざと認識させられたことはない。この9月の本番に向け、日本代表チームのリハーサルはすでに2カ月前に始まっていた。各登壇者は、内容そのものに加え、身のこなし・外国語の発音についても猛特訓を受けたようだ。全員が早めに現地入りし、本番会場に準じた施設で1週間以上にわたって練習を重ねたという。日本人はプレゼンが下手だとよく言われてきたが、今回のこの五輪招致成功がきっかけとなり、わが国でも、今後こうした高度なプレゼンのテクニックの教授サービス市場が伸張するような予感がする。また、今回の五輪招致プレゼンの鮮やかな成功ぶりは、わが国の向こう7年間にわたる黄金時代を自らの手でつかむのだ!という、気概と勇気を日本人に与えてくれた気がする。

さて、本題に入ろう。五輪招致決定となると、どうしてもまず関連施設、インフラ整備に目が向く。東京では選手村、未来的なメインスタジアムや各種競技会場、そして交通インフラ整備が進む。巨額の投資が行われ、向こう7年間の国内経済への波及効果については、約3兆円超と見積もられている。

東京湾岸の晴海に建設が予定されている選手村では、都有地に最高27階建ての居住棟を計24棟も建設する予定だという。これで、全棟あわせて約1万7000のベッドを備えることになる。五輪終了後は大型マンションに生まれ変わるという。もちろん選手村以外でも、東京湾岸の新築高層マンションの人気は今後うなぎのぼりになるだろう。また、ホテルの客室も当然足りなくなる。首都圏では空前のホテル建築ラッシュが到来するだろう。

なお、前回の64年東京オリンピック開催に向けては、新興国日本においてさまざまなインフラが急造された。東海道新幹線、東京モノレール、首都高速、都内の環七といった幹線道路建設、日本武道館の新造など、現在の日本・東京の骨格となっている重要インフラは前回の五輪開催に照準を当てて整備されたものだ。

建設後すでに半世紀が経過し、これらの老朽化したインフラの大規模補修・建替えによる工事が必須となっている。もちろん、補修更新工事などにとどまらず、首都圏3環状道路(首都高速中央環状線、外環、圏央道)の完成も早まり、また成田空港と羽田空港を結ぶ直結線の新規建設計画、東京モノレール・地下鉄・ゆりかもめの延伸計画なども具体化するだろう。五輪開催までのハード面の投資とその経済波及効果は(前倒し分を含め)相当なボリュームになるのは間違いない。

ただし、そもそも20年の東京五輪は、成熟した先進国日本の既存都市インフラを活用するものであり、東京圏内にある33競技施設のうち28施設が半径8キロ圏内に配置されており、コンパクトな大会であることをアピールして招致に成功したくらいだ。招致委員会の試算では、20年までの直接の建設投資額そのものは4000億円弱にとどまり、08年の北京五輪(約4兆5000億円)や、12年のロンドン五輪(約1兆3500億円)に比べても極端に少ない。また、経済波及効果が全体で3兆円超だといっても、向こう7年間でこれを割って、1年当たりでみれば、その効果は年間わずか数千億円程度に過ぎず、それだけで日本経済を劇的に浮上させ続けるものではない。 

観光立国を目指しインバウンド市場を狙え

訪日外客数(予測)。向こう7年間で、訪日外国人数は、2000万人、3000万人まで伸ばすことも夢ではない。

それゆえ我々は五輪開催の、直接の波及効果だけに囚われていてはならない。五輪開催ということだけで、すでにアジア中、いや世界中からの日本への関心が高まっている。我々はこの大チャンスを最大限に生かすべきだ。そして海外から数多くの訪日旅行客を呼び込み、同時に日本人自身の国内観光への関心をよみがえらせ、わが国の観光立国実現に向けたプランを立案実行し、失われた20年間を取り戻すべきなのだ。実際、政府は近い将来に訪日外国人数を2000万人とする目標を掲げている。緻密な戦略を立て、官民が力を合わせて取り組めば、現状の1000万人(13年予測)の訪日客は、向こう7年間で2000万いや、3000万人にまで伸ばすことも夢ではない。仮に将来、訪日客3000万人を達成した場合、訪日観光市場規模の予測は、2010年の実績1兆1500億円に、プラス2~3兆円の需要が上乗せされ、インバウンド関連のGDPは単年でさえ3~4兆円超の規模となるのだ!実にインバウンドだけで、上述の東京五輪の経済波及効果を凌駕する計算となる。また、訪日旅行市場の大幅な伸張は、日本の国内観光産業を刺激し、日本人の国内旅行消費を拡大させる起爆剤ともなるに違いない。

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