
田口義大氏(左)
第一営業本部 チーズ・食品事業部 家庭用チーズマーケティンググループ リーダー
2002年入社。宅配の営業部門を経て、03年より飲料のマーケティング部門にてリプトンを担当。12年5月より家庭用チーズのマーケティングを担当。
見上 亮氏(右)
広報部 広報課 アシスタントマネージャー
2001年入社。飲料の営業担当、マーケティング担当を経て、12年9月より広報部にてチーズ、アイスなどのPRを担当。
森永乳業より、“ごはんに合うチーズ”が発売された。パンにのせたり挟んだりする食べ方が一般的なチーズを、ごはんと組み合わせて食べることで、用途やシーンを広げた。新たなチーズ需要を掘り起こすだけでなく、米の消費拡大への貢献にも期待がかかる。オリジナルなちょい足しレシピを楽しむユーザーが続出し、好調に売り上げを伸ばしている。
今回の仕掛け人は、第一営業本部チーズ・食品事業部家庭用チーズマーケティンググループリーダーの田口義大氏と、広報部広報課アシスタントマネージャーの見上亮氏。発売時のメディア露出による認知拡大と、店頭ではチーズ売り場のみならず和日配コーナーでも陳列することで、新たなチーズ需要の掘り起こしを狙った。

発売は2012年9月。ごはんが好きな人や主婦、小さい子どもを持つ母親をターゲットに、コンソメ味の商品を発売した。13年3月には第二弾として「クラフト チーズでごはん!?ツナマヨ」、同時にパン用ふりかけチーズとして「クラフト トマトソースとモッツァレラ」を発売した。
“ごはんに合うチーズ”を具現化
用途やシーンを広げて需要喚起
─「クラフト チーズでごはん!?」の商品開発にあたって、注目した市場の動きやトレンドはありましたか。
田口 まず着目したのは、国内でのチーズの消費量です。農林水産省が発表している「チーズの需給表」によると、商品開発に着手する直前の2011年度で28万4382トンとなり、過去最高でした。直近の12年度は、それをさらに上回って30万トン超となり、消費量自体は増加しています。とはいえ、欧米諸国と比べると日本の消費量はまだ少なく、“チーズ後進国”と言わざるをえません。チーズの食べ方のバリエーションをあまり知らないという人も多く、チーズが食生活に根付くまでには至っていない状態です。
当社で実施した調査によると、日本人がチーズを食べるタイミングは朝が多く、パンに挟んだり、乗せたりするといった食べ方が多いことが分かりました。つまり、「チーズ=朝=パン」という用途やシーンに限定されがちだということです。さらに、「実際にチーズが果たしている役割」と「今後チーズに期待したい役割」を聞いてみると、期待値と実態の差分が最も大きかったのは、「白いごはんに合う」でした。つまり、ごはんに合うチーズへの潜在的ニーズがあることが分かったのです。このニーズを具現化した商品を開発すれば、需要を掘り起こすチャンスになりますし、ごはんとの組み合わせを提案すれば、パンと一緒に消費されがちだった用途を広げることができます。さらに夜に食べる機会の多いごはんとの食べ合わせを提案することにより、シーンの拡大にもつながり、結果的にマーケットを広げることができるだろうと考えました。
折しも米の消費量が低下し、1世帯当たりの米の購入金額がパンの購入金額を下回ったというニュースが報道されました。米は日本人にとって愛着のある食材です。最近のヒット商品を掘り起こしてみても、「食べるラー油」や「カップヌードルごはん」など、ごはんを切り口にした商品が目立ちます。「チーズでごはん!?」を発売することで、米の消費拡大に貢献するとともに、ごはんが好きな“ごはん信者”にも喜んで食べていただけるだろうと思いました。