レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
宇宙飛行士選抜キャンペーンの店頭POP。宇宙飛行士にキスマークをつけることでAXEらしさを表現。
若い世代を中心に美容意識の高い男性が増えており、以前にも増して盛り上がりを見せている男性美容市場。関連企業は商品やサービスを拡充するとともに、より日常的に利用してもらおうと、利用シーンの提案などあの手この手でアプローチ。男性化粧品や男性美容家電、美容室の分野から、市場をリードする企業に話を聞いた。
男性化粧品市場の成長に伴い、ドラッグストアでの売り場面積も拡大。消費者にとっては、売り場で商品に接したり、購入するチャンスが増えている。
とはいえ、男性化粧品はまだまだ目的買いが多く、売り場がそこにあることを知らなければ、素通りしてしまうことも多い。市場拡大が見込まれ、ドラッグストアに男性客を呼び込むことができる商材として、どうやって購買につなげるかは課題である。
最近はコンビニでも男性化粧品を買ってもらうため、コンビニの男性化粧品売り場を活性化させようとする動きも見られる。
また、男性美容家電売り場も活況を呈している。商品ラインアップが増えただけでなく、美容家電以外のヘアワックスやボディソープなどの化粧品も一緒に売り場に並ぶようなり、一つの売り場で男性美容に関する商品が何でもそろうようになった。
今回は、男性美容を切り口に、化粧品、美容家電、美容室といった異なる業種の最新プロモーション事例を取材した。
ユニリーバの男性化粧品ブランドAXE(アックス)は今年、女性を引き付けることを強調したメッセージ訴求から、普段の身だしなみにも利用しやすいブランドイメージへと転換を図る。
2007年の発売以来、「AXEを使った男性に女性が引き付けられる」という大胆でユニークなメッセージ訴求により、男性フレグランス市場を拡大・牽引(けんいん)してきた。その一方で、ユニークなブランドイメージが先行し、手に取りづらく感じる男性がいるという。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングのブランドマネジャーである広木さゆみ氏は、「男性のグルーミング需要が高まる中、ヘアワックスなどと同じ感覚でAXE を使ってもらえるよう、身だしなみに使えることを伝えていきたい」とブランドイメージの転換を図る狙いを話す。
同社がまず取り組んだのが、AXEの主要カテゴリーであるフレグランスの効果を、女性を引き付けるだけでなく、つけた人の好感度を上げると再定義し、発信することである。香りが人に与える影響を脳科学的な視点から調査する「AXE 脳科学研究所」を立ち上げ、人を見る目のプロとして企業の受付嬢、人事担当者、アパレル店員の各100人に男性の評価と香りの関係についてアンケート調査を実施。その結果を基に、「受付嬢100人に聞きました。いい香りがすると印象が良くなる73%」といった広告コピーを制作し、ビジネスマンの利用が多い東京都内の路線を中心に車内広告を掲出した(6月実施)。