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ヒットの仕掛け人

「マウス型スキャナ」、ヒットの決め手は“タッチ&トライ”

キングジム

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藤本実生氏(左)
広報室 リーダー
2005年入社。営業部門を経て広報室へ配属。PR活動や広告企画、自社のSNS運営に携わる。「マウス型スキャナ」ではウェブサイトも担当した。
今田ひろみ氏(右)
開発本部 商品企画部 マーケティング課 リーダー
1999年入社。商品開発部で主にデジタル文具の開発を担当したのち、商品企画部へ配属。主に携わった商品は「テプラ」「こはる」など。

ポメラやショットノートなどユニークなデジタル文具で知られるキングジム。次に仕掛けた話題の商品が、「マウス型スキャナ」である。普段はマウスとして使用し、必要なときにスキャナに早変わりする便利さと、スキャンしたい箇所をなぞるだけでデータ化できる手軽さが人気。ビジネスユースに加え、日常でのちょっとしたスキャン用途にも応える商品として期待されている。

今回の仕掛け人は、開発本部商品企画部マーケティング課リーダーの今田ひろみ氏と、広報室リーダーの藤本実生氏。これまでにない新しい商品であるだけに、使い方を店頭やウェブサイトの動画で分かりやすく示す、店頭でのタッチ&トライで実際に試せる機会を設けるなど、商品の使用感の訴求に重点を置いた販促活動を行っている。

操作しやすさにこだわり日本仕様に再設計して発売

─海外で販売されていた商品を日本仕様にして発売したとのことですが、この商品を日本市場に導入しようと思ったきっかけは何ですか。

今田 アナログ書類のデジタル化は、検索や共有の際とても便利なのですが、その手前のスキャンする作業を習慣として続けるのは少し面倒です。いちいち複合コピー機のところまで歩いていかないといけないし、サイズが大きい新聞などは拡大・縮小コピーで適当な大きさにしてからスキャンしなくてはいけません。私自身、大きな紙面の一部分を、原本を切り取らずにスキャンするのにいつも苦労していました。当社では自分たちの悩みや困り事が商品開発に結び付くことが多いのですが、今回も、もっと簡単にスキャンできるツールはないかと探していたところ、海外のサイトでマウスとスキャナが一体化した商品を見つけた事がきっかけでした。

実際に購入して使ってみると、思ったより簡単に操作できました。ソフトのインストールはボタン一つでできますし、パソコンのプレビュー画面を見ながらスキャンできるのも便利です。機械操作が苦手な私でも取扱説明書を読まずに使えるなら、きっと多くの人に使ってもらえるに違いないと思いました。それで早速販売元に連絡を試みましたが、連絡がうまくいかず、半ばあきらめていたんです。しかし、別の機会に、当社の香港現地法人を通じて製造メーカー側とコンタクトを取ることができ、セカンドモデルをベースに、日本向け商品を一緒に開発することになりました。それが昨年4月頃のことです。

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2012年11月発売。海外で販売されていた商品を、日本市場に合わせた仕様に改良して発売。パソコン画面でプレビューを見ながらスキャンできる分かりやすさと、文房具のような簡単な使用感が特徴。スキャンしたデータはトリミングなど編集も可能。

─セカンドモデルの開発に際して、貴社の意見が反映された部分はありますか。

今田 海外で売られていた商品はハイスペックなパソコンに対応したものでしたが、それでは利用者が限られてしまいます。そこで、日本のビジネスの現場に合わせて、汎用的なパソコンでも使えるよう設計し直しました。仕様を変えたことで、動作検証と修正にはかなりの時間をかけました。また、従来はサイズも大きかったのですが、持ち運ぶことも意識して小型化し、手になじむ形に変えています。

藤本 文具メーカーのキングジムとしては、書類の一部分を切り抜いて保管する道具、つまりハサミのような感覚で使ってほしいという想いがあります。デジタル製品とはいえ、文房具らしい使用感や、コツを必要としない操作性には特に気を配りました。

─商品化にあたり、社内での反応はどうだったのでしょうか。

今田 商品化にあたっては通常、社長や役員が出席する開発会議でプレゼンを行います。その場で実際にスキャンする様子を見せたところ、「それいいね、やろう!」とすぐに商品化が決定しました。それくらい分かりやすい商品だったのだと思います。

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2月下旬から掲出した交通広告
ポメラやピットレックなど、ほかのデジタル文具とともにポスターを掲出した。

店頭やウェブサイトで動画を流し使い方をイメージしてもらう

─昨年11月に日本で発売された時、プロモーションでは使いやすさなどの商品特長をどのように打ち出しましたか。

今田 マウスとスキャナが一体化した商品はこれまで日本にはなかったため、商品がただ置いてあるだけでは、普通のマウスと勘違いされてしまいます。当社の商品には「テプラ」や「ポメラ」など造語による商品名が多かったのですが、この商品に関しては、名前からも商品が推測できるように「マウス型スキャナ」と、分かりやすい名前にしました。

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