東京コンタクトセンターの様子。朝方の入電量で1日の量を予測し、インバウンドとアウトバウンドの人員を配分する。入電が特に多い日は、同じフロアの企画部門の社員が対応することもある。
メディアの多様化に伴って顧客接点が急増し、コンタクトセンターに求められる役割も変わってきた。今はその過渡期と言えるだろう。その中で企業は、コンタクトセンターをどのように活用し、ビジネスにつなげているのか。
定期的な電話フォローで保険解約率を3分の1に抑制
金融商品を扱うSMBC日興証券のコンタクトセンターは、国内外の多数の賞を受賞している。各賞、評価の切り口はサービス品質や運用体制、生産性などさまざまだ。
同社のフリーダイヤルを受電するコンタクトセンターは東京と沖縄にあり、それぞれ150席程度。東京がインバウンド、沖縄がアウトバウンドを中心に行うが、どちらも両方の業務に対応できる。東京コンタクトセンター長の稲田英樹氏は、同社におけるコンタクトセンターの位置付けについて「リテール営業部門*1の一端をなしている」と話す。その理由はいくつかある。
まず、インバウンド業務では、金融商品の注文受け付けや問い合わせ対応を中心に行っている。その際、新商品やキャンペーンなどがある時には必ず案内し、結果をその顧客の営業担当者に共有。顧客が希望すれば、担当者から改めて連絡をしている。「センターに電話をくださるのは金融商品に関心の高いお客さまなので、期間限定のキャンペーンなどは積極的に伝えることがサービスになります。また、問い合わせをセンターで受けることで、実際に顧客を担当している支店の時間的な負担を減らし、生産性を高める役割もあります」と同氏。顧客からの用件や案内した内容などは、CRMシステムを使って営業担当と常に情報共有し、一元的なサービス提供に生かしている。