原寸大広告でショールーム来場数が倍増 商品のリアル感を伝えたOOH戦略の企画書
住宅設備機器と建築資材の販売を行うミラタップ(当時サンワカンパニー)は2024年1月、商品を原寸大で掲載した交通広告を札幌駅に掲出した。横幅が約14mという掲出場所の特徴を生かし、原寸大のキッチンや洗面台を見てもらうことで、社名の認知向上やショールームへの来場を促進する狙いだ。
マル秘公開 これがプロの企画書だ!
博報堂ケトル
プランナー プロデューサー 編集者
石原 篤(いしはら・あつし)氏/2002年博報堂入社。07年から博報堂ケトルに参加。主な仕事にモスバーガー&ミスタードーナツ「MOSDO」、JT・ Seven Stars「Star Fes.」、エスエス製薬・EVE-A「ローラ・デザインパッケージ」、ロッテ・コアラのマーチ「コアラが逃げた!?キャンペーン」、flumpool 「阪井一生ダイエットプロジェクト」など。編集長としてライフスタイル誌「3<SAN>」発行。
まず市場環境について簡単にお話しします。発売30年のチョコパイを取り巻く環境を捉える上で、PB商品の存在は無視できない状況です。このデータからも、20〜40代の子持ち主婦層からは、PB商品を買うことが"賢い選択"と捉えられているようです。
これからのチョコパイ・コミュニケーションを考えていく上で、チョコパイの独自性と優位性を改めて提示し、チョコパイを選ぶ理由をつくっていく必要があります。
ということで、今回のミッションを一言で言うと......「チョコパイの品質を、 継続的に話題にすること」。このミッションを達成することで、チョコパイの独自性と優位性を提示していきます。
では、どうやって話題にするのか? 今回はタレントさんを起用したCMをするわけではないですし、いわゆるPRイベントのようなことではないと思います。芸能ネタとして露出量だけを高めるような話題化ではなく、あくまでも品質に落ちる話題を継続的につくれるか。ここがポイントです。
ただし、大きな技術革新があった製品とは異なるので、チョコパイの品質リニューアルを話題にするのは、なかなか難しいぞ! というのが正直なところです......。
我々がプランニングする中で、ヒントにしたのがこの事例です。御社が以前発売した「容量7.5倍のチョコパイ」。これは商品としてとってもユニークですし、食べてみたいし、ニュースフックも強い。しかも露出された記事を見てみると、キチンと品質に落ちています。
ロングセラーブランドの強みはここにあるかと。商品を少しデフォルメするだけでコンテンツになり、ニュースのネタがつくれる。このニュースが子どもの頃から知っている味をリマインドさせる情報になり「久しぶりに食べたいな〜」という行動を引き出すのではないかと。
「チョコパイの品質を、 継続的に話題にする」ために提案するのが、"100個だけ""オンラインショップだけ"で販売する「限定PR商品」を作って話題にするプランです。
これは実売を狙うものではありません。あくまでもチョコパイの品質を話題にするための、「装置」として開発します。サイズを大きくしてニュースフックをつくった「7.5倍のチョコパイ」のように、チョコパイの構成要素の一部をデフォルメすることで、最終的にチョコパイ品質に落ちる"ニュースのネタ"をつくろう!というものなんです。