現在、店舗やサービス業などの施設を見ると、競争がますます激化し、流通小売業もそこで取引をする事業会社(メーカー)も「どうすれば集客や売り上げが上がるか」といった問いを繰り返している。ここでは流通小売業や事業会社におけるマーケティング・ゴールの本質である「選ばれ 行きたくなる店」や「選ばれ 使い続けたい商品」のための価値づけについて掘り下げていく。
選ばれる店・商品への3STEP
STEP1 企業やお店の「らしさ」を考え・整理する
まずは、その企業やお店の理念や行動規範の整理から始める。自分たちのビジョンや顧客への姿勢といった「自分たちが何者であるか」を企業の中で各自が意識して整えることから取り組む。
STEP2 「誰が」キチンと伝えられるかを明確にする
企業において、顧客に価値を伝えられる高いスキルを持つ者であれば、その者にしか与えられない役割や責任がある。また、スキルの違いを明確にすることは、自分自身の中にチャレンジの気持ちを持つことになる。そして、その違いは誰もがすぐに分かるようにマークやエンブレムなどで可視化する。
STEP3 来店・購買こそ本質的な目的であることを忘れない
顧客に知らせて、つぶやいてもらうことが目的ではなく「来店や売り上げ」につなげることにこだわる。顧客が店舗に足を運んで、ワクワクするものを感じてもらうための仕掛けづくりとして「顧客満足」と「企業で働く者の満足」の両面が大切。
「行きたくなる店」とは?
買いやすい売り場、品ぞろえが豊富で自分に合った商品がある、住居から近いなど、条件面の答えが理由に並ぶ中「あの店の雰囲気が良い」や「会いたい店員さんがいる」といった気分をそそることが大きく影響している事に気付く。セールス・キャンペーンの投下やVMD(お店の演出など)の駆使や、一部の店員のスキルに頼ることではなく、「行きたい」と感じる気持ちへの発火や「会いたい」と思うシンパシーや情緒のようなもの、これらを仕組みとして機能させてつなげていけば、そこに〈新しい効果や価値〉が生まれてくる。今回その方法・手順を三つのSTEPとして捉えてみた(上囲み参照)。
三つのステップを力強く推進するポイント
企業で働く人の想いを捉える際、また買い物する顧客を捉える際においても、必ず「インサイト」をつかむようにしなければいけない。