プロモーションの企画・実施において、広告会社やSP会社を使わず、自社内ですべてを行う企業も多い。その中でも、話題性の高いプロモーション施策を不断に世に送り出し、商品の売り上げにつなげているのが赤城乳業だ。昨年、年間販売数4億本を突破した主力商品「ガリガリ君」の好調を支える、社内SPチームの強さの理由とは。

プロジェクトチームの面々。マーケティング部の荻原氏(中央)をはじめ、開発部、購買部、技術部、品質保証部、ガリガリ君プロダクションの各担当者で構成されている。
プロジェクトチーム制で発想の幅を広げる


コンビニエンスストアのバイヤーから「守りに入ったガリガリ君なんか見たくない」という言葉を受け、プロジェクトチームが企画・商品化した「コーンポタージュ味」。開発部をはじめ各部門が参加するプロジェクトチーム制だからこそ、現場で生まれたアイデアをすぐに実現できる。
1981年発売の赤城乳業「ガリガリ君」は、2000年に販売本数1億本を突破してから急成長を続け、12年には4億3800万本を突破。今年の上半期(1~6月)は前年比130%で推移し、年間目標の5億本を突破する見込みだ。この成長を支えてきたプロモーションの舵を取るのが、同社営業本部マーケティング部の萩原史雄氏。現職に就いた04年、猛暑で過去最高販売数を更新したこともあり、05年からはさらなる売り上げ拡大を目指して話題づくりに注力してきた。その成果は前述の通り、販売数の拡大でも実証されている。
ガリガリ君のプロモーションに携わるのは、赤城乳業の全社横断型プロジェクトチーム、同社マーケティング部、そしてパッケージやCM、販促物などの制作を手掛ける子会社「ガリガリ君プロダクション」の三つのチーム。プロジェクトチームには開発部から技術部、購買部、品質保証部まで、社内の各部門から担当者が参加して販促アイデアを出し合う。「さまざまな立場から商品にかかわる人が集まることで、発想の幅も広がる点がメリット」と同氏。
しかし、立場の異なる人が多くかかわればその分、方向性がぶれてしまうもの。そこで、ガリガリ君のSPチームは二つのルールを共有している。それが「すべての施策をアイス売り場につなげること」と「数値にこだわること」だ。