「顧客のニーズに応える商品作りを行って、感動を提供できる企業に成長していきたい」と話す、代表取締役社長 林秀信氏
洋傘の商品開発は軽量化、コンパクト化が進む
日常品の一つである「傘」。誰もが世話になっているが、自分がどこのブランドの傘を持っているのか、自覚のある人は少ない。しかし、改めて見てみると、自宅に「water front(ウォーターフロント)」というブランドのロゴマークが付いた折りたたみ傘や洋傘がある人も多いのではないだろうか。
なぜなら、洋傘市場(年間販売数1億2000万本)の約17%のシェアを持つ、洋傘のトップメーカーであるシューズセレクション(東京・目黒)の年間販売数が2250万本もの実績を誇っているからだ。
シューズセレクションが一貫加工生産の洋傘メーカーとして産声をあげたのが1985年茨城県古河市の自社工場(傘工房)である。洋傘製造職人の育成を狙った東京洋傘学院を設立しながら、国内外の有名ブランド数十社のOEM受注生産に取り組んでいた。
その後、ブランド再構築の流れと職人の高齢化、原材料の海外からの輸入などが進み、労働集約型の傘製造は海外に拠点を移さざるを得ない状況に入った。同社でも中国に生産拠点を移し、現在、7箇所(厦門、広州、深圳など)で製造している。2000年、自社ブランドの「SuperVLE500シリーズ」の展開が始まった。翌年、年間の扱い数量は1200万本を達成。同社は積極的に商品開発を展開していった。
2002年の3月にスタートした、同社の代表的なブランド「waterfront」のロゴ。
超薄型折傘「ポケフラット」。
02年3月、5段式折りたたみ傘「ポケミニ」(特許登録済み)の発売を皮切りに、04年10月、超薄型折傘「ポケフラット」(特許・意匠登録済み)、極細折傘「ペン細」(特許出願済み)を発売している。折りたたみ傘は、3段式折りたたみ、5段式折りたたみという形態が開発され、重量、サイズも軽量化が進んでいった。「傘の商品開発は、大きい傘から軽量化・コンパクト化の流れになっています。当社は傘のモノづくりで技術の開発と職人の育成を重視した戦略で事業展開してきました」と同社代表取締役の林秀信氏は話す。