
鎌倉の器店「うつわ祥見」の店主・祥見知生氏は、人気作家の展示会やトークイベントを積極的に企画。同店内はもちろん、美術館での展示会をディレクションし、作家の素顔や、仕事のあり方を伝えるトークイベントを行うこともある(写真は、国立新美術館SFTギャラリーでの様子)。こうしたイベントを通じて、作家や作品のファンづくりにつなげている。
商業施設が、日替わりの体験イベントを仕掛け、商品や価格といった買い物以外の魅力で集客を図り、顧客に楽しい時間を過ごしてもらおうという取り組みに特に力を入れ始めた。
こうした傾向は、デフレ下であっても暮らしの延長上にささやかな楽しみを見出したい、という消費者の気分とも合致する。トレンドや消費動向に詳しい電通総研の袖川芳之研究主幹に、消費の気分の観点から見た注目のイベントについて聞いた。
日常の中にある刺激を求める消費者

阪急うめだ本店にある雑貨売り場「うめだスーク」の様子。雑貨の作家と交流しながら買い物できるのが魅力。期間限定ショップもあり、イベントも開催。
ーー電通総研が今年発表した消費潮流のレポートでは、時代を読み解くキーワードに「手の届く所にある非日常」が挙がりました。商業施設で行われる日替わりのイベントもその一例だと思いますが、このキーワードについて教えてください。
日常生活の中で手が届く非日常の刺激が人気です。デフレ下で低価格志向が続き、日常の驚きに飢餓感がある中で、消費者は品質が良く、ワクワクときめくものなら、価格が少し高くても選択、購入するようになっています。
例えばテーマパークで提供しているフローズンビールが口コミで広まっていますが、これも、手の届くところにある非日常の刺激が求められている現れと言っていいでしょう。
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