謎解きをしながら書店内をひとめぐり
東京・神保町にある書泉グランデは、専門的な品ぞろえが特徴の7階建ての老舗書店。本だけでなく、鉄道フロアには鉄道マニア垂涎のグッズが、またゲームフロアにはボードゲームが所狭しと並ぶ。「趣味人専用」をコンセプトにしており、精神世界のフロアには仏像が飾られるなど、その売り場もユニークだ。
店内で謎にまつわるフェア
謎解きゲームイベントの開催に合わせ、各フロアで「謎」にちなんだフェアを開催。アイドル本のある地下1階では、「"迷宮入り"アイドル写真集フェア」も。
客層の中心は30~40代男性だが、3月29日~5月12日まで書店内で行われた謎解きゲームイベント「本屋迷宮からの脱出」の期間中は、20~30代の女性を中心に、10~60代まで幅広い年齢の顧客が集まり、1万2000人強がイベントに参加した。
専用のゲームブックを手に、謎解きをしながら物語を読み進める参加型のイベントで、ゲームブックを購入して書泉グランデに来店すれば、いつでも謎解きを楽しめるというものだ。物語の舞台は書泉グランデで、殺人事件の謎を解くという内容。容疑をかけられているのは、書泉グランデの店長、という設定だった。物語の内容と、実際の売り場がリンクしており、売り場の様子も詳細に描かれている。物語に沿って、店内を巡ると謎解きのヒントが得られる仕組みだ。
ゲームブックを読みながら謎解き
参加者は、ゲームブック(1050円)の物語を読み進めながら、書泉グランデ内で謎解きを行う。ブックは、書泉各店やSCRAPのウェブサイトなどで購入できた。
この催しは、書泉グランデ側が「リアル脱出ゲーム」のプロデュースで知られるSCRAPにイベント開催を打診。同社が謎解きゲームを書店の中で行うのは、全国でも初めての新しい試みということもあり、実現に至った。書泉の宣伝を担当する、書泉のグループ会社アニメイトの鈴木英理花氏は、企画のきっかけについてこう話す。
「 私自身が実際にリアル脱出ゲームを体験してみて、参加者の謎に挑む探求心の強さに驚かされました。本好きの方たちも探究心が強いので、書店との親和性が高いと考えました。また実際に会場に行かないとその面白さが体験できない希少性も魅力でした」
イベント「本屋迷宮からの脱出」では、書泉グランデの存在を幅広い層に知ってもらうだけでなく、実際に書店へ足を運んでもらうことも狙いだった。
「とにかく一度来て、店内を見ていただきさえすれば、普通の書店とは異なる品ぞろえや、面白さが伝わり、また来店していただけると考えました」と鈴木氏は振り返る。イベント参加者には、全フロアを回ってもらいたい、という思いから、謎解きのヒントを全フロアにちりばめ、物語を読み進めるうちに、フロアの奥までぐるっと歩いてしまうような設計にした。
通常のリアル脱出ゲームは、時間制限が設けられているが、本イベントでは、書店の営業時間中なら、時間制限なくいつでも参加できるのが特徴だ。期間中は、本を買いに来た顧客と、ゲームブックを手に謎解きを楽しむ人が店内に混在していた。