ブランディングと売りがデジタルで完結する今、企業は「旗艦店」にどんな役割を託しているのか
今回の特集テーマは「旗艦店」。店舗を有する小売・流通、サービス業にとっては販売戦略の中心となり、なおかつ企業の姿勢や想いを伝える役割も担う「ブランディングと売りが共存する空間」です。
多店舗展開する小売や流通、サービス業において、販売戦略の中心となる旗艦店。企業の姿勢や想いを伝えるブランディングの役割も担いながら、一般店とは異なり大規模に展開する店舗として運営されるため、高い売上を見込む販売活動の中心的存在でもあります。しかし、現代はECが普及し、必ずしも店舗でのリアルな接触が必要ではない時代となりました。企業の姿勢やコンセプトを伝え、販売を促進することもデジタルのみで完結できてしまう時代です。このように消費者や店舗環境が変化する中では、企業が旗艦店に求める役割や機能も変化しているのではないでしょうか。本特集は、消費者との最大の接点であり、ブランディングと販売が共存する旗艦店に持たせる役割や戦略を各社に取材。いま、求められている旗艦店のあり方を探ります。
今回の特集テーマは「旗艦店」。店舗を有する小売・流通、サービス業にとっては販売戦略の中心となり、なおかつ企業の姿勢や想いを伝える役割も担う「ブランディングと売りが共存する空間」です。
旗艦店だけではなく、新たに店舗をオープンする際には戦略が欠かせない。今回は商圏分析で店舗出店を支援する技研商事インターナショナルに、架空のGMS(総合スーパー)A社の旗艦店出店戦略を実際に考えてもらいました。架空のGMSA社が、同社に旗艦店出店の相談を持ち掛けてきていると仮定して、その相談に対する答えと、その答えに至った理由・背景をデータやファクトを用いて解説するという内容です。相談内容や架空のGMSA社がおかれている条件は、編集部が下記のように無作為に指定しました。
販売の中核を担う重要な店舗として運営される旗艦店。アパレルやビューティーの業界でも、コロナ禍以降に旗艦店と位置付ける出店が相次いでいる。そんな昨今の事例から見えている1つの潮流は “体験の提供” だと『WWDJAPAN』編集長の村上要氏は話す。トレンド化している背景を解説する。
消費者との直接的な接点が希薄になってしまったコロナ禍を経て、ECの普及やDXが推進された印象が強いアパレル業界。しかし、繊研新聞で発信された「旗艦店」関連のニュース数はコロナ前後で変化がなく、むしろコロナ禍の真っ只中ではニュース数が増えていたことがわかったという。この背景には、アパレル企業のどのような考えがあるのか。繊研新聞社 編集局長の若狭純子氏が推察する。
家電量販店といえば駅前に設置された店であれ、郊外のロードサイド店であれ、大規模な店舗展開が印象的だ。とりわけロードサイド店はドミナント戦略をとり、店舗数の拡大に注力していた数年前から一転、昨今の潮流は「スクラップ&ビルド」にあるという。電波新聞社報道本部長の水品唯氏によると、その背景にあるのは売上から利益重視へのシフトだという。
アメリカの楽器メーカー フェンダーは2023年6月30日、世界で初めてとなる旗艦店を東京・原宿にオープンした。店内には、エレキギターやアコースティックギター、ウクレレ、アンプ、ペダル、スピーカーといった製品を数多く取り揃えている。また、ブランドとしては初となるアパレルブランド展開やカフェ併設にも挑戦。開店から約1年、フェンダーミュージック アジアパシフィック統括のエドワード・コール氏に、旗艦店にかける想いを聞いた。
ブランドアイテムの買取・販売をはじめとしたリユース事業を展開しているコメ兵は2023年11月、4フロアからなる旗艦店「KOMEHYO SHIBUYA」を渋谷にオープンした。40~60代の利用が多い同社だが、旗艦店に託した役割は若年層との接点の創出だ。これまでとは全く違うスタイルで運営される同店について、マーケティング部 部長の諏訪弘樹氏に聞いた。
1975年に創業したアウトドアメーカー「モンベル」。スイスやアメリカにも店舗を構える同社は2022年、世界最大の売り場面積を誇る旗艦店を奈良にオープンした。近年、地域への出店にも注力している同社が、奈良の旗艦店に求める役割とは。同社広報部長代理の渡辺賢二氏に話を聞いた。
今年、創業から100周年を迎える「洋菓子のヒロタ」は、昨年10月1日に東京と大阪に旗艦店をオープンした。100周年を記念して行ったリブランディングのコンセプトが反映された同店舗。その戦略について、同社経営企画室の土屋知子氏に聞いた。
グラニフは2023年12月、過去最大面積となる旗艦店を東京・原宿にオープンした。「ここにしかないグラニフ」をテーマとした店内では、様々なキャラクターを使ったオリジナルアイテムや限定商品を展開。またブランド初となるカフェを併設するなど、同社の新たな試みが見られる。旗艦店が果たす役割について、同社 執行役員/リテールディビジョン ゼネラルマネージャーの萩野谷卓朋氏に話を聞いた。