小売業はオープンプラットフォームへ メーカーのプロモーション支援も
マツモトキヨシは、ドラッグストア業界の成長が鈍化した際、先進的に顧客データ活用を進め、業績を伸ばした。データに関する考え方や活用の今後について、同社の松田崇氏に話を聞いた。
「データ活用」─とはいつごろから世に登場した言葉だろうか。たとえば「データ分析」という語句であれば、1970年代にも使われていることは、調べれば容易にわかる。しかし「データ活用」は管見の限り、1990年代も後半に入ってから登場しているようだ。データは、「分析」するだけでなく、「活用」を前提とするものになった。
ともかくも「データ活用」が人口に膾炙するようになって、二十数年が経つ。では現在の私たちは、どこまでデータを活用できているのだろうか。見込み顧客にEメールやダイレクトメールを送ってみたり、Webの閲覧履歴を基に、興味を引きそうなディスプレー広告を見せてみたり。あるいは購入した商品などの情報に基づき、割引クーポンをレジで発行するというのも該当する。こうしたプロモーションの精度を高めるだけが「データ活用」なのだろうか。
近年では、「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」という言葉が、経済関連のメディアの見出しに踊った。やや食傷気味という向きも少なくはないのではないだろうか。また最近では「情報銀行」や、「信用スコア」といった言葉が、その地位に付いているようだ。栄耀栄華をほしいままにせんとばかりの「データ活用」は進化のスピードが速い。手をこまねいていると時代に置き去りにされそうな不安もよぎる。
しかし、実のところ、顧客から誕生日を教えてもらい、それを覚えておいて、ちょっとしたギフトを贈り、お祝いのひとことをかけるのであっても、立派な「データ活用」のはずだ。誕生日は個人情報であり、それを活用しているにほかならないからだ。むしろ、ここにこそ、データ活用の本質、要点があるのではないか。
話題ばかりが先行しがちな「データ活用」だが、それを手段として、すべきこととは一体なんであるか。各社のキーパーソンに話を聞いた。
マツモトキヨシは、ドラッグストア業界の成長が鈍化した際、先進的に顧客データ活用を進め、業績を伸ばした。データに関する考え方や活用の今後について、同社の松田崇氏に話を聞いた。
「蔦屋家電+」は、メーカーに消費者ニーズのヒントとなるデータを提供し、出展料で売り上げを立てる次世代店舗だ。6月7日、売り場面積を2倍に広げてリニューアルした。
86年めを迎えるUCC上島珈琲に、昨年4月、キャリア採用で入社した染谷清史氏。以降、急ピッチで改革を進め、データ活用に本腰を入れはじめて約半年が経とうとしている
実践の場において、顧客データはどのように活用すればよいのか。分析ツール「Target Finder(ターゲット・ファインダー)」を提供している東急エージェンシーに取材した。
ANA Xは、ANAグループの顧客マーケティング会社。顧客とのデジタル接点と顧客データを基に、パーソナライズされた情報・サービスをタイムリーに提供するマーケティングモデルの確立を目指す。
データ活用で成果を収めるには、どのようなことが欠かせないのか。企業の規模、業態の違いによらない、誰でもインストールできる「考え方」を聞く。