接客の質を高めるマーケティング思考
「接客」と「マーケティング」は、実は関わりが深い。顧客が抱える「意図」へのフォーカスという共通点があるほか、マーケティングがつちかってきた理論が生かせる点も多い。目的や方法論、背景となる考え方を整理しながら、イトーヨーカ堂の営業本部で本部長補佐を務める富永朋信氏に解説してもらった。
私たちが、商品やサービスを売ったり、買い物をしたりするとき、そこで交換されているのは、モノとお金だけではない。来店者は買い物のプロセスにまつわる良い体験を受け取り、販売側はブランド資産をより強くする。そうした、見えない価値と見えない通貨のやりとりもあるのではないか。「接客」は、どのような価値を顧客に提供できるのか。マーケティング視点での再考にはじまり、一線で活躍する店頭スタッフ、外国人対応、動画、テクノロジ─「接客」にまつわる、さまざまなトピックから、売り上げとブランド向上のヒントを探る。
「接客」と「マーケティング」は、実は関わりが深い。顧客が抱える「意図」へのフォーカスという共通点があるほか、マーケティングがつちかってきた理論が生かせる点も多い。目的や方法論、背景となる考え方を整理しながら、イトーヨーカ堂の営業本部で本部長補佐を務める富永朋信氏に解説してもらった。
ポーラ・オルビスHDが展開する「オルビス」は、通販事業を軸として成長してきたスキンケアブランドだ。2000年に初の実店舗を開店して以降、これまで店舗数を拡大してきた。店舗ならではの強みは、顧客の反応からインサイトを引き出せること。「オルビス・ザ・ショップ 池袋パルコ店」の田中順子チーフに、同ブランド特有の顧客目線の接客と、その教育方法について聞いた。
スキンケアブランド「LUSH(ラッシュ)」の通常店舗では、来店者にヒアリングをし、求める商品を提案する「コンサルテーション」を行っている。これ自体は多くのコスメブランドが行っているが、LUSHが目指すのは、「店員と顧客」の関係を超えた、友人のような関係性づくりだ。
Eコマースで洋服を買うこともめずらしくなくなってきた昨今。「接客されたくないからネットで買う、ネットが楽」と言ってはばからない人もいる。もちろん、ネット購入が適切な場合はある。しかし、どこかさびしさを感じることもあるのではないか。自分ひとりだけの価値判断で買い物をするのが。もし、本心から悩みを共感してもらえるスタッフがいたなら─それこそ実店舗の価値だと言えるだろう。
C←「空いている方向を指差して?」って英語で何て言う?答えは、「Point your finger in the direction of the opening.」だそうだ。母国語であればすんなり思いつく接客上の質問も、第二言語、第三言語となると、とたんにむずかしくなるものだ。一般会話とは別のスキルが必要だ。国外客が増え、日本国内の店舗を訪れることも多くなりつつあるいま、店舗はどのように対応すべきか。
「Zoff」の売りは、即日仕上げ、安いが高品質。メガネをつくるのに時間がかかる諸外国からの来店者は、「クレイジー!」と驚くことも少なくないという。一方、特注レンズを用いる場合はどうしても時間がかかってしまう。しかし、「滞在中になんとか特注レンズのメガネがほしい」という顧客に対応すると、とても喜ばれるそうだ。言葉の壁はあるものの、「顧客」として嬉しいポイントに違いはないようだ。
日本政府観光局によると、2018年の訪日外国人客数は史上初めて3000万人を突破したという。接客の場においても、急増する外国人客への対応が急務だ。しかし、あくまで人と人とのコミュニケーション。頭の中の「外国人」像にしばられず、できる限りお互い歩み寄ることが、おもてなしにつながるのだろう。甲斐ナオミ氏に、日本人が抱きがちな誤解と伝わりやすい英語表現について聞いた。
東京五輪の招致スピーチで滝川クリステル氏が用い、2013年の流行語大賞に選ばれた言葉、「おもてなし」。あれから5年以上経ち、来年には日本の「おもてなし」が本物なのか、答え合わせがされる時がくる。外国での生活を送ったことがある人にとって、実際日本の接客はどう感じられるのか。クリスさんとアランさんに聞いてみた。
新宿・歌舞伎町の6つのホストクラブを束ね、そのほかにもさまざまな事業を展開する、Smappa!Groupの会長、手塚マキ氏。ホストの接客と聞くと、お客を喜ばせる話術、売り上げによる歩合制、熾烈なランキング争い、一晩で数百万──など厳しくもきらびやかな世界が思い浮かぶ。しかし1月のある日、手塚氏が取材で語ったのは「食いっぱぐれなければいい」という売上至上主義のホスト界からは想像もできない、接客論もとい仕事論だった。
「元美容部員 和田さん。」のYouTubeチャンネルが人気だ。その名の通り、美容部員の経験を持つ『和田さん。』が、メイクに関するノウハウを紹介するこのチャンネルは、2018年5月の開設から7カ月で視聴登録者数が60万人に達した。アパレル・コスメブランドの動画配信が浸透するなか、店頭での接客経験を動画に活かす方法は、多くのブランドが気になるはず。『和田さん。』に秘訣を聞いてみた。