スパン!と音がなるぐらい速く感じさせるコピー
コピーライターになったのは入社8年目。クリエイティブ試験を経て、なりたくてなったコピーライター。だからこそ自分はこれからどんなコピーを書けばいいのか(書きたいのか)について悩んだ。凄いコピーライターはもうこの世の中に沢山いる。後からきた自分が誰かのコピーを真似て書くだけでは意味がない。自分が書く意味。8年目の1年生にとってそれは大きな悩みだった。
名作コピーの時間
コピーライターになったのは入社8年目。クリエイティブ試験を経て、なりたくてなったコピーライター。だからこそ自分はこれからどんなコピーを書けばいいのか(書きたいのか)について悩んだ。凄いコピーライターはもうこの世の中に沢山いる。後からきた自分が誰かのコピーを真似て書くだけでは意味がない。自分が書く意味。8年目の1年生にとってそれは大きな悩みだった。
大学の時は、TUGBOAT全盛期(今もですけど)。
インサイトをとらえるとか、広告効率を上げるとか、そんな難しいことではなく。ただ、純粋にステキだと思えてしまう。「ゆれる、まなざし」は詩よりも詩的で、絵画よりもビジュアル的で、わずか7文字のひらがなに日本語の美しいはかなさが漂っている。それでいて、ムリなく商品に落ちている。いいコピーは力みがなく、無駄がなく、なぜか言葉として薫っています。
どれだけ優しくなればこんなコピーが書けるんだろう。夏の昼下がり、お昼寝する子どもをうちわであおぐお母さんの心の声。コピーライターと書かれた名刺を持たせてもらえるようになった頃に知った、カルピスのCMです。コピーライターってこんなにも素敵な世界を表現することができるんだ。胸が踊りました。そしてそれ以上に、どれだけ優しくなればこんなコピーが書けるのだろうと、自分の性格を省みて不安になったことを覚えています。
初任配属はマーケティング部だった。希望した部署だったのに、調査とロジックを積み上げていく日々に、すぐ飽きた。やがてコピーライターへの転身を目指し独学でコピーの勉強をはじめ、そのころ出会ったのが1つめのコピーだった。ママ向け雑誌のコピー。当時、コピーの構造を理屈っぽく分析しまくっていたので、「うまいこと言ってる上にいいこと言ってる」完璧すぎるこのコピーが心の師匠となり、仮面浪人のようなコピー修行をしばらく支えてくれた。
ついつい口ずさむサウンドロゴ。「やめられない、とまらない」は今思えばポテチでもカールでもチップスターでもあてはまる。あらゆるスナック菓子で使える"大きなコピー"だ。でもそこは先に言った者の勝ち。カルビーかっぱえびせんの専売イメージで定着している。当時30円の小袋サイズは値段の割に量が感じられ、遠足のおやつにも重宝した。小学生の僕は売上に貢献していた。
ずっと青春にあこがれています。青春いいな。青春うらやましいな。でも、どうやら自分には青春をする才能がないらしいので、このまま青春にあこがれながら死んでいくことになりそうです。
長年この仕事をやっていますが、コピーについて語るのは初めてで照れますね。でも、いろんなコピー、つまり広告を思い出す作業は、頭の中で30年を一気に旅する感覚で心地よかった。僕は高校まで鹿児島で暮らしてまして。毎日サッカーして、テレビ見ながら晩御飯を食べる平凡な日々でしたが、そんな田舎の少年の心を鷲掴みにしたCMが、ランボーです。
持って生まれた性器だけで性別は判定できないことを、誰もが理解しはじめた時代に、男だ、女だというのは野暮だなぁと思いつつ、男を自覚して生きていると思われる人が、絶妙な女感覚を捉えたいいコピーを書いていると、席を立って拍手したいような気持ちに駆られる。というわけで、今まで出会い、驚いた「男子が書いている女子のコピー」をあげてみた。
新人だった頃、秋山晶さんとランチによく行きました。ある日、料理を待つ間、思い切って聞きました。「秋山さんは、自分のコピーで何がいちばん好きですか?」。秋山さんは少し考えて「広告として好きなのは…男は黙って、かな」。あぁ、なるほど。40年以上も前のコピーなのに、いろんな世代が知っている。パロディにも使われたり。しかも、商品名まで入っていて。よく考えれば、それってすごい。僕は、そんなコピーを1本でも書けるのか?と悶々としながら、中華麺をすすりました。