ミスチル「HOME」から学んだこと
10代の頃から、僕は大のMr.Children(以下ミスチル)ファン。ボーカル 桜井和寿さんの声帯・形態模写をずっと続けていて、2年前の東京デザイナーズウィークで開催された「デザイナーズカラオケのど自慢大会」で優勝したこともあるほどです。音楽としてずっと好きだったミスチルのジャケットや広告のデザインを初めて意識したのは、大学生の時。博報堂が大学で就職説明会を開催し、卒業生としてやってきたのが森本千絵さんでした。
10代の頃から、僕は大のMr.Children(以下ミスチル)ファン。ボーカル 桜井和寿さんの声帯・形態模写をずっと続けていて、2年前の東京デザイナーズウィークで開催された「デザイナーズカラオケのど自慢大会」で優勝したこともあるほどです。音楽としてずっと好きだったミスチルのジャケットや広告のデザインを初めて意識したのは、大学生の時。博報堂が大学で就職説明会を開催し、卒業生としてやってきたのが森本千絵さんでした。
修悦体を初めて見たのは、社会人1年目に日暮里に住んだとき。当時、工事中だった駅やその周辺の施設にまでガムテープを使ってつくられた文字が貼られていました。修悦体はすでに知る人ぞ知る存在だったのですが、僕は全く知らなかったので、初めて見たとき衝撃を受けました。なんだかすごいものを見てしまった、と。でも、これがきちんと意図してデザインされているものなのか、最初はわかりませんでした。それからインターネットで検索をして、そのガムテープ文字を佐藤修悦さんという人がつくっていることを知りました。
この作品を見たのは、社会人になった頃だったと思います。当時、すでにステファン・サグマイスターは国際的なデザイン賞をたくさん受賞しており、デザイン界では知られた人でした。僕も雑誌や展覧会で作品は見ていたのですが、TDC賞のトークイベントで話を聞いて、こんな面白い人がいるんだ、とあらためて意識するようになりました。
『日本のZINEについて知ってることすべて』は、1960年代から現在に至るまでの日本のZINEとそれをめぐる状況をまとめたもの。翻訳家であり、自主制作出版物のオンラインショップ「Lilmag」を主宰する野中モモさんとネットワーカーで周辺文化研究家のばるぼらさんが、2014年にデザイン誌『アイデア』でスタートした連載がベースになっています。
美大を目指して浪人している頃、時々東京の書店に行って、デザインの本を何時間も見ていました。それは僕にとって楽しみの時間でもあり、情報収集の場でもありました。あるとき目に留まったのが、立花ハジメさんのデザインによる「Swatch」の時計。盤面やバンドがタイポグラフィだけで構成されているのですが、文字のエレメントが重ねられていたり、文字そのものが歪んでいたり⋯。これは以前に雑誌で見たことがあり、鮮烈な印象が残っていたものでした。
僕が影響を受けたのは、川添登さんと師匠の勝井三雄先生が監修した国内初のフルカラー百科事典『現代世界百科大事典』1~3巻(1971年、講談社)です。この事典にはダイアグラムやインフォグラフィックスなどに必要な手法がすべて詰まっているんです。
アメリカから帰国して日本でデザインオフィスも構え、仕事のオファーもそれなりにいただき、周りからは順風満帆に見えていたと思います。でも、その一方で自分の中では何か壊れていくものがあって…。それが2008年頃。それから約10年、短編映画を制作したり、日米を往復しながら一人体制に戻ってデザインを続けてきました。
写真家 細江英公さんが作家 三島由紀夫を被写体とした写真集『薔薇刑』は、1963年に集英社から出版されました。これまでに杉浦康平さん、横尾忠則さん、粟津潔さんが造本と構成を手がけています。以前からこの本の存在は知っていましたが、6万円を超える高価本ということもあり、手にとったことがありませんでした。しかし偶然にも父(浅葉克己)が粟津さんに続く4人目の装丁とデザインを手がけることになり、2015年に『二十一世紀版 薔薇刑』が出版されました。
僕が卒業した日本大学芸術学部デザイン学科は、1919年創立の美術と建築の学校「バウハウス」(ドイツ)の影響を受けています。バウハウスで学んだ建築家の山脇巌さんが日本に帰り、日芸の基礎をつくったと聞きました。僕はバウハウスに行ったことはありませんが、日芸の授業にはその流れを汲んでいるもがありました。
大学に通っていた頃、ライティングスペースデザインという授業で、「正方形を説明せよ」という課題が出ました。正方形の定義、4つの辺がすべて等しく、4つの角がすべて等しい、というものですが、それを説明しようと、私はいろいろな学生に声をかけて、あえてフリーハンドの、さまざまな正方形を集めたんです。最終的にそれらをデータ化し、ストップモーションアニメのように仕立ててプレゼンをしました。そんなときに、書店で偶然出会ったのが、"正方形の版型"の本『線の事件簿』でした。