先進技術と世の中をつなぐ「ライフ視点」のアプローチ
まだ知られていない新たなテクノロジーや商品を世の中で必要とされるビジネスに昇華するために、クリエイターはどんなアプローチができるだろう。ダイバーシティ&ヘルスケア領域で研究開発と事業化に取り組むピクシーダストテクノロジーズは、アンファーや塩野義製薬と共に2種のプロダクトを発売。Droga5とAccentureがブランディングや事業創造に携わっている。
企業や団体が新たに取り組む事業やプロジェクトにクリエイターが参画する際、一体どのような役割が求められているのか。一方的な提案ではなく、事業主とクリエイターが良きパートナーとして傾聴と対話を重ね「共創」を進めていくスタイルが広がっている今。2025年開催の大阪・関西万博でも、デザイン視点で「共創」に取り組み、未来社会の在り方を探る動きが見られるなど、注目度が高まっています。また、AIなどテクノロジーを用いた共創の手段も広がってきました。今回は実際にローンチされた事業やプロジェクトの実例について、提案書類や実現に向けてのプロセスがわかる資料を紐解きながら、これらのポイントを探っていきます。
まだ知られていない新たなテクノロジーや商品を世の中で必要とされるビジネスに昇華するために、クリエイターはどんなアプローチができるだろう。ダイバーシティ&ヘルスケア領域で研究開発と事業化に取り組むピクシーダストテクノロジーズは、アンファーや塩野義製薬と共に2種のプロダクトを発売。Droga5とAccentureがブランディングや事業創造に携わっている。
事業主とクリエイターが密になってプロジェクトを推進するために、必要なことは何だろうか。Preferred Roboticsは2023年5月、人の指示で家具を動かすロボット「カチャカ」の販売を開始した。開発に際し、デザインイノベーションファームのTakramなどクリエイターの協力を得たという。
プラスチックメーカーの甲子化学工業(大阪市)は、北海道・猿払村のホタテの貝殻を再利用した環境配慮型ヘルメット「ホタメット」を2022年12月から先行予約販売している。TBWA\HAKUHODOが両者の課題をブランドストーリーとして編み、生まれたプロジェクトだ。ビジネススキーム開発にも携わり、事業として動き出している。
2025年に開催が予定されている大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。そのためのコンセプトに、「People‘s Living Lab」(未来社会の実験場)と掲げられている。この実験場において、どんな未来社会がありうるのか、そしてどうすればその実装ができるのかプロセスを構想してきたのが、デザインに関連する幅広い業界において知見・経験を有す13人のメンバーで構成された「Expo Outcome Design Committee」(EODC、2021年12月3日から2022年3月31日にかけて設置)だ。
ウエルシア薬局が2021年6月から展開しているプライベートブランド「からだWelcia・くらしWelcia」。クリエイティブディレクター 戸田宏一郎さんとコピーライター 岡本欣也さんをパートナーに、これまで約200の商品を生み出してきた。PBのブランディングは、PBの商品開発に、ひいてはウエルシア薬局自体のブランディングに繋がりつつある。
日本酒の製造と観光施設の運営をなりわいとしてきた浅間酒造(1872年創業)は、2023年4月、リブランディングを発表した。今後、新たな銘柄の日本酒や、観光施設のリニューアルも実施するという。
2023年3月10日から19日にかけ、アメリカのオースティンで開催されたテクノロジー・音楽・映画の祭典「SXSW」。現地では新たな技術が多数展示され、領域を超えた共創を体現している。ここでは実際に出展をしたDentsu Lab Tokyoの大瀧篤さんが、自身のプロジェクトと現地で目撃した日本発の「共創」事例とその要点を振り返る。