2001-2022 ブランデッドコンテンツ20年史
2000年代に登場した「ブランデッドコンテンツ」。企業の広告そのものの位置付けが変化を遂げる中、その定義や役割はどのように変わってきたのか。
企業が映像と物語を通じて表現する「ブランデッドコンテンツ」。2000年代以降、その手法が国内外で注目を集める中で、位置付けや表現も多様化しています。従来の広告とも異なる世界観で企業の意志を伝えるにあたり、クリエイターに求められている役割とは。実例を交えつつ、企画制作のポイントを考えていきます。あわせて、経済産業省が実施するブランデッドコンテンツ制作への補助金制度についても解説。最大1000万円の支援があることから、企業規模などを問わず制作のチャンスが広がっています。
2000年代に登場した「ブランデッドコンテンツ」。企業の広告そのものの位置付けが変化を遂げる中、その定義や役割はどのように変わってきたのか。
三菱鉛筆は3月、新たに策定した企業理念を体現した動画「違いが、美しい。」を公開した。世代も性別も人種も異なる16人が手書きで「自分らしさ」をテーマに一枚の絵を描く姿から、筆記具メーカーから「表現革新カンパニー」へと向かう同社のビジョンを考えさせられるブランドムービーとなっている。
CCCマーケティンググループが2019年に掲げたグループミッション「UNIQUE DATA,SMALL HAPPY.」。それから3年経った2022年、ミッションをより浸透させるためにブランドムービーが制作された。
貝印は3月、新たにグルーミングブランド「AUGER(オーガー)」を立ち上げた。合わせて、ブランドのコンセプトを体現する複数のムービーを公開。なかでもブランドショートムービーとして制作された「Nulbarich - STEP IT」は、コンセプトのひとつ「Kiss our humanity」を色濃く反映しブランドの思い描く世界観を伝える映像として機能している。
愛知県に本社を置くテラ・ラボは2022年2月、約14分のムービー「空飛ぶイルカ」を公開した。災害時の状況把握のため開発した無人航空機「テラ・ドルフィン」をはじめ、災害対策DXに取り組む同社が描く未来を主人公である役場の職員の目線で描いている。
近畿大学通信教育部は1月、通信で学ぶ人たちを応援する動画を公開した。芸人、会社員、母親など実際に学んだ学生たちのエピソードに基づき、近大創設者の「学びたい者に学ばせたい」という思いを表現している。
工場・製造業の求人サイト「工場求人ナビ」を運営し、製造系人材派遣などの総合人材サービスを提供する日総工産は1月、ブランドムービーを公開した。派遣スタッフの葛藤や労務管理担当社員との交流から、「工場人材派遣業」「労務管理者」への理解や共感を高める喜怒哀楽の詰まったストーリーとなっている。
札幌市で書道教室を運営する「書峰社書道」は2月1日、創立70周年を記念した動画を公開。父娘のメッセージのやりとりを通じて「大切な想いを伝えるための手段」としての手書きに取り組む価値を伝える。
カーナビなど車載ソフトウェア開発を手がけるミックウェアは1月、6月にローンチする神話伝承アプリ「たまむすび」のブランドムービーを公開。愛知県犬山市の名所を巡りながら、同社が提唱するインナーツーリズムの価値を伝えるロードムービー仕立ての内容だ。