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いま人を呼び込む空間デザイン コンセプトのつくり方

丹下健三による建築をアップデート 横浜美術館の「拡張性」ある空間デザイン

横浜美術館

横浜美術館は2月8日、改修期間を経て全館リニューアルオープンした。丹下健三に設計された建築はそのままに、その内部をアップデートした格好となる。公共の場でもあるこの美術館を現代に合わせてどうチューニングしたのか。リニューアルロゴ、サイン計画、そして空間構築を手がけたグラフィックデザイナーの菊地敦己さんに話を聞いた。

©morinakayasuaki

「みなとが、ひらく」に込めた意図

左右対称に180メートル広がる、重厚感のある石造りのファサード。中央部分に位置するエントランスから足を踏み入れると、ガラス張りの天井からやわらかい自然光が降り注ぐ。左右に約60メートル広がるこの空間は「グランドギャラリー」と呼ばれ、リニューアル以前から入場料を払わずとも誰でも自由に出入りできる場だ(01)。パーテーションや看板、家具など一連の什器は複数のトーンのピンク色で統一されており、自然光の下で石造りの空間と溶け合うことで、やさしく新鮮な印象を与える。

01 グランドギャラリーには、自由に使用できるさまざまなスペースを設けた。サイズや色の異なる円形のテーブルやイスが配された「まるまるラウンジ」(1枚目)や、靴を脱いでリラックスして遊べる「くつぬぎスポット」(3枚目)なども。
©morinakayasuaki

エントランスを背にして正面にあるのは、サイズや色の異なる円形のテーブルやイスが配された「まるまるラウンジ」。自由に腰をかけて、会話や飲み物を楽しめる場だ。そして左右にはそれぞれ複数の階段と踊り場が組み合わさった「大階段エリア」が広がる。踊り場は、向かって右側は正方形、左側は円形をモチーフにしており、展覧会の関連書籍を読むスペースや、子どもが靴を脱いで遊べるスペースなども設けられている。展示ができる場所もある。

大階段を上がった先には、グランドギャラリーを囲むように、企画展などを開催するギャラリーが並ぶ。ギャラリーの空間も、右側が正方形、左側が正円の形。ギャラリーのある展示フロアにも一部無料エリアを設けている。こうしたグランドギャラリーを中心とする無料エリアの総称は「じゆうエリア」。…

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