2025年1月7日(日本時間)から米ラスベガスで開催された、世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。家電業界のみならず幅広い業界から注目されているイベントだ。過去10年にわたりCESに参加してきたDentsu Lab Tokyoの土屋泰洋さんが、今回のCESを振り返ると共に、事業開発のヒントになりそうなユニークなサービスやプロダクトを紹介する。

1月7日から11日に開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。
CESから読み解くテクノロジーの潮流
今回のCESでは、昨年に引き続き「AI」が大きなテーマとなり、各社はAI技術を活用したデバイスの統合と、最適なユーザー体験の提供に注力していました。
過去10年のCESを振り返ると、2015年頃から、あらゆる家電がインターネットに接続されることで、PCやスマートフォンから家電の稼働状況を確認・操作できる「IoT化」が進展してきました。象徴的な出来事としては、2014年にSamsungがIoTプラットフォーム「SmartThings」を買収したことが挙げられます。そして翌年のCESでは、Samsungが「5年以内に自社の全家電をIoT対応させる」と宣言し、実際にテレビ、エアコン、冷蔵庫など多様な家電製品のIoT化を実現しました。この動きに追随する形で、他メーカーも次々と自社製品のIoT化を発表しました。
この流れに伴い、自動車メーカーや航空会社、日用品メーカーといった、従来はテクノロジー企業と見なされていなかった企業もCESに参入し始めました。それに呼応するように、CESの主催団体は名称をCEA(Consumer Electronics Association:全米家電協会)からCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)へと変更しました。この変更は、家電製品に限らず、生活全般に関わるあらゆるものがテクノロジー化されていく時代の到来の象徴だと言えるでしょう。こうしたテクノロジー化の流れは、2020年のパンデミック以降、遠隔化...