『卒母のためにやってみた50のこと』(大和書房)という本に出会い、ページを繰り出したら止まらない。手書きの文字とイラストで構成されているたたずまいもユニーク――著者でありグラフィックデザイナーの田中千絵さんに話を聞いた。
「過剰な『母』という役割を終わらせる」
田中さんが入ってくると、部屋がふわりと明るくなった気がした。「よろしくお願いします!」と差し出された名刺と、田中さんの笑顔が重なり、リラックスした空気に包まれてインタビューは始まった。
「卒母」とは、あまり聞き慣れない言葉。田中さんは「過剰な『母』という役割を終わらせて家族みんなの自律・自立を促すこと」ととらえ、自己犠牲を伴わない健康的な家族の距離感を目指そうと、そう名付けたという。言われてみると、出産から子育ての渦中では、自分の親世代や周囲の「こうあるべき」という価値観と、自分の「こうしたい」との乖離に…
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