「不在」から考える美術館や作品の「存在」
再開館記念「不在」
─トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル
1年半のメンテナンス休館を終えた三菱一号館美術館。リニューアル・オープン初の展覧会は、パンデミックで持ち越しとなったフランスを代表するアーティストのソフィ・カルとの協働プロジェクト。
同館のコレクションそして展覧会活動の核をなすアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品を改めて展示する本展において、カルが提案した主題は「不在」。奇しくもロートレックは、生涯にわたって人間を凝視し、その心理にまで踏み込んで「不在」と表裏一体の関係にある「存在」それ自体に迫る作品を描き続けた。
会場では「時代の記録者」であるロートレックの作品136点を「存在」という視点から見直すと同時に、長年にわたり「喪失」や「不在」について考察を巡らせるカルの多様な創作活動を紹介。美術館活動の「存在」について考える貴重な機会といえる。
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