電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

洗練された白が特徴のパッケージ用紙
パッケージ用紙「シンボルパック-FS」は、青みを帯びた白さが特徴の紙だ。しっかりとした厚みで商品パッケージやグリーティングカードなどに適している。表面は2層塗工され、折り加工への適性や耐久性の高さに定評がある。オフセット印刷はもちろん、箔押しやエンボスなどとも相性が良い。
今回、このファインペーパーを使用してブックジャケットをデザインしたのは、加藤亮介さん、加藤千洋さんの2人。「薬などのパッケージにも使われそうな、きれいな印象の紙。清潔感や真面目さ、堅実さも感じました。このクリーンなイメージと白さを活かすため、黒が映えるシンプルなデザインに。黒い正方形を機械的に並べることで、白を際立たせています」(加藤亮介さん)。
70個の正方形の中には、ひとまわり小さい正方形が中央に配置されている。よく目を凝らすと、同じ黒でもツヤや質感が異なる黒を組み合わせていることがわかる。「“プロセスインキのスミ”“特色黒の2度刷り”“グロスニス”“消黒の顔料箔”という4つの印刷や加工をモジュールとして捉えてランダムに重ねていくことで、複数の異なる表情を持つ黒の“揺らぎ”を創り出しています」と加藤千洋さん。
たとえば表1の左上の角にある正方形は、スミ(大)×特色黒(小)。表1の左下の角にある正方形は顔料箔(大)×スミ(小)。その右隣の正方形は、特色黒(大)×グロスニス(小)を印刷・加工している。
「整然と並んだ黒一色の正方形でどのくらいコントラストの違いを出せるのか、という挑戦でした。組み合わせによって一つひとつの質感の違いがあって、デザインした自分たちも延々と眺めてしまうほど。この仕上がりはデータ上でデザインしているだけでは絶対にわからない、印刷加工に適した紙だからこそ表現できる面白さだと思います」(加藤亮介さん)。

「(ふつうの)マヨネーズと(ふつうの)ケチャップ」パッケージデザイン。

「きょうの日本酒」アートディレクション、パッケージデザイン。

「品川区立第四日野小学校」サイン計画。
今月使った紙:シンボルパック-FS
洗練された印象を与える、青みを帯びた白が特徴のパッケージ用紙です。表面2層塗工により、優れた折り適性・耐久性を持ち罫線割れを起こしにくくなっています。印刷適性も良好で、パッケージだけでなく並製表紙やカードなど、さまざまな用途にご使用いただけます。

加藤亮介(かとう・りょうすけ)(右)
東京藝術大学大学院デザイン科修了。日本デザインセンターを経て、2021年KAAKA設立。
加藤千洋(かとう・ちひろ)(左)
東京藝術大学大学院デザイン科修了。電通を経て、2021年KAAKA参画。
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