僕は20代の頃、アーティストの椿昇さんのアシスタントをしていて、2003年頃、椿さんの作品制作のために、バングラデシュに取材へ行くことになりました。椿さんに頼まれたのは、バングラデシュで毎年行われるイスラム教の犠牲祭「コルバニ・イード」の取材と、そこで暮らしている人たち、約100人にインタビューすること。2週間ほどの滞在だったので、椿さんに薦められた本を持って行き、バングラデシュに向かう飛行機の中で読みました。それが、文化人類学者である辻信一さんの著書『スロー・イズ・ビューティフル 遅さとしての文化』(平凡社)です。
この本は、“急ぎ過ぎない社会”の可能性と遅さの大切さを再発見する内容で、…
あと80%