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青山デザイン会議

映像制作の現場 生成AIはどう使う?

大嶌諭、曽根隼人、中山佑樹

動画生成AI「Sora」の登場、また新型iPhoneにもApple Intelligenceが搭載されるなど、さらなる盛り上がりを見せている生成AI界隈。前号では「言葉」をテーマにしましたが、今回は映像制作現場でのAI活用について取り上げます。集まってくれたのは、今年7月、AI技術を活用した広告動画とIP開発を行う「DO/AI」をローンチ、さまざまなクリエイターとAIのコラボレーションで新たなコンテンツを創出する、WITCRAFT代表の大嶌諭さん。映画・ドラマを中心にプロデューサー、ディレクターとして活躍、9月には初の著書『生成AI×映像制作 解体新書』(玄光社)を上梓した曽根隼人さん。アパレル企業を主なクライアントとして撮影現場における課題をバーチャルヒューマンで解決、伊藤園やタケモトピアノのCMにもAIモデルを提供し話題を集めた、Al model CTOの中山佑樹さん。生成AIを活用するメリットや、実際の制作現場での活用事例、さらに炎上や権利関係についての課題など、未来の映像制作はどう変わる?

選びながらつくる新しいクリエイティブ

大嶌:僕は元々、東北新社でCMや映画のプロデューサーをしていました。今年の6月に退社してWITCRAFTという会社を立ち上げ、AIの技術を活用して広告動画やIP開発を提供する「DO/AI」というサービスをスタートしたんです。

曽根:ビデオグラファーからキャリアをスタートして、今はドラマや映画を中心にプロデューサーやディレクターをしています。大学で授業を持ったり、映像クリエイターが集まるプラットフォームの運営にも関わったりしていて、先日『生成AI×映像制作 解体新書』という本を出版しました。

中山:2020年に、AI modelという会社を創業して、CTOを務めています。クライアントはアパレル企業を中心に、CMや広告などを展開している企業。目指しているのは撮影構造の改善で、もちろんクリエイティブの向上への寄与もありますが、作業軽減の観点からもAIモデルやAIタレントを提供しています。また、弊社で開発しているAIモデル生成システムを一部クライアントや制作会社、撮影スタジオなどにご利用いただき、撮影課題の改善などに繋げていただく取り組みも行っています。

大嶌:DO/AIをローンチするときに、AIを使っていくつかCMをつくらせてもらったんです。そうしたら、その中のひとつが早速炎上しまして……。

中山:面白いCMでしたが、怖いですね。最近、うちも他社が手がけたCMの炎上を受けて、いろいろな質問が来ています。

大嶌:AI modelさんも、伊藤園やタケモトピアノのCMを手がけていますが、ネガティブな反応って聞かないですよね。

中山:「その理由が知りたい」とよく言われるのですが、うちがAIを提供しているCMの利用方法としては、「VFXとAIのどちらが最適か」を検討したうえで選択されているんです。たとえば、VFXやCGだと数千万円かかるものが、AIを使えば数百万円で実現できる。そういった使用する意図の明確さが、見ている人たちの不快感をそれほど煽らなかった理由かもしれません。

曽根:NetflixのCEO、テッド・サランドス氏も「AIが人間のクリエイターに取って代わることはない」と言っているように、生成AIが"できない部分"を理解することが重要だと思うんです。ABEMAの番組でそんな話をしたところ、生成AI推進派から叩かれて僕も炎上しました(笑)。

大嶌:クライアントの中でも、生成AIをどう活用していくべきなのか、そのルールもまとまっていないし、まだまだ壁はあるなと。でも、こうした議論は絶対に避けては通れないですよね。

曽根:先日出版した本の中でも書いていますが、僕が一番伝えたいのは「とりあえずAIを使ってみてほしい」ということ。使ってみると、あれもできない、これもできないというのがわかるし、AIがどれだけ進化しても、クリエイターが担わなければいけないポジションがあると気付けるはずなので。

大嶌:僕もずっと実写の世界でやってきましたが、触ってみて、人間の妄想的な世界をスピーディに可視化できるところに、めちゃめちゃ可能性を感じました。今までのクリエイティブって、「これをつくる」と決めたら真っすぐそこに向かっていくだけでしたが、AIの場合は選択しながらつくる、新しいクリエイティブだなと。

中山:つくり方が全く違うんですよね。もうちょっと寄ってほしいとか、…

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