審査の視点
文化的背景や必然性を捉える
今年のカンヌのイノベーション部門には、白杖を使っている方が審査員にいらっしゃいました。Disabilityを持った人をターゲットにした作品への鋭い洞察、当事者ならではの視点は非常に勉強になりました(いや、そういうターゲット以外の作品への洞察もむちゃ鋭かったのですが)。審査する側のダイバーシティは本当に重要だと改めて思いましたし、当事者だって多様です。つくり手側としても多様な当事者コミュニティを巻き込んだ企画というのが今後一層大切になってくるように感じました。Clio Awards、D&AD、The One Showでも審査を担当しましたが、作品の文化的背景や“この時代にある意味”はどの賞でも議論になりました。近年アジア諸国が海外アワードでの受賞に苦戦しているのは、ここの説明や捉え方が甘いからなのかも。「これは日本独特のインサイトだから通じない」なんてことはないのかもしれない。そのために説明の機会が与えられているのだから。「これは世界共通の課題だから、通じるかも」というのは逆に、え、まだその課題に対してそんなポジションにいるの? となってしまうかもしれない。ローカルカルチャーを鋭く捉えることと、グローバルな流れを広く俯瞰すること、世界が常時接続になった時代においては、…