2つの会場にわたって展開する作品空間
内藤礼 生まれておいで 生きておいで
150年の歴史を持つ東京国立博物館。12万件以上の収蔵品とその建築空間に、美術家の内藤礼が向き合う展覧会が開催中だ。
「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに光や空気、水、重力といった自然がもたらす事象を受け止め、「地上の生の光景」を見出す空間作品を生み出してきた内藤礼。本展では、内藤が自らの創造と重なる“人間のこころ”を見出した縄文時代の土製品を選び、東京国立博物館の建築や歴史を独自の視点で読み解きながら、新たな空間作品を制作している。
会場のひとつとなる本館特別5室では、長年閉ざされていた大開口の鎧戸を開放。カーペットと仮設壁が取り払われ、建築当初の裸の空間として立ち現れた空間を自然光が満たす。
また、9月7日からは銀座メゾンエルメス フォーラムにて同タイトルの個展が開催され、2025年には再び東京国立博物館へと続く構成となっている。重なり合いながらも隔たりを持つ2つの場を繋ぐのは、連作の絵画と立体作品。時空を超えて広がる構想を体感できるだろう。…