イメージの話になる。
1999年の夏。地中海。サントリーニ島の崖で集落のシェイプをスケッチブックになぞっていた。白亜の伽藍はそれまでに見たどの白よりも白かった。建築の学生だった。時間のすべてを建築に向けていたが、自分は建築には向いていないかもしれないと気付くのに長い時間は必要なかった。子どもの頃から建築が好きだと思っていた。だが自分が好きなのは建築ではなく、建築家の描くイメージ、記す言葉だったと、あるとき気付いた...
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