身近な日常の面白さを源泉とした2人の創造
土方久功と柚木沙弥郎熱き体験と創作の愉しみ
東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業後、1929年から42年までパラオ諸島やサタワル島で暮らした土方久功。ミクロネシアの人物や風景を主題とした作品や、民族誌学的調査の成果をまとめた著書や詩集、絵本には、ミクロネシアでの熱い体験が生き生きと脈打っている。
東京帝国大学(現・東京大学)美学美術史科で学んだ柚木沙弥郎は、柳宗悦が提唱する「民藝」の思想と芹沢銈介に影響を受け、染色の道を志す。100歳を迎えてなお活躍を続ける柚木の作家人生において、海外でメキシコの玩具などを目にした経験が、より自由な表現へ向かう契機となった。
直接的な接点はないものの、多彩な表現の広がりが不思議に響き合う両者の作品。その創造の世界を取り上げる本展では、土方による雑誌『母の友』(福音館書店)の挿絵原画が初公開されるほか、柚木が身近にあった布ぬのきれ裂などで夢中になってつくったという指人形《町の人々》なども展示。
土方久功と柚木沙弥郎熱き体験と創作の愉しみ | |
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9月9日~11月5日 世田谷美術館[東京・世田谷区]
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周縁のオブジェクトから見出す建築の豊かな内面
西澤徹夫 偶然は用意のあるところに
京都市京セラ美術館や八戸市美術館をはじめ、文化施設や美術展の会場構成など美術館関係の仕事を数多く手がける建築家、西澤徹夫の初めての個展が開催。