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セレクト10

モノクロームの表現 ほか今月の展覧会

デザイン・アート・広告賞 今月の展覧会&コンペティション

モノクロームの表現

三浦明範《鮭図》 2001年、平塚市美術館蔵

石井礼子《私の周囲 忙しい日Ⅱ》 2002年、平塚市美術館寄託

本展では、白から黒への色彩の変化やグラデーションを駆使して各自の表現を追求する8人の作家の約30点を紹介する。自身の内面やモチーフそのものを凝視し、表現する上で、色彩を極限まで絞ったモノクロームの表現は、作家に重要な気付きを与えたことだろう。単色でありながら美しい諧調と豊かな世界観を持つ表現の魅力を堪能することができる。

モノクロームの表現

平塚市美術館
開催中、5月28日まで
月曜休館
お問い合わせ→ 0463-35-2111

大巻伸嗣 ―地平線のゆくえ

大巻伸嗣《Liminal Air Space-Time》2020年 展示風景:「存在のざわめき」 関渡美術館(台湾/台北、2020年) Photo:Mind Set Art Center[参考図版]

大巻伸嗣《Echoes Infinity ー永遠と一瞬ー》2016年 展示風景:「あいちトリエンナーレ2016」 愛知芸術文化センター 愛知県美術館(2016年) Photo:Tetsuo Ito[参考図版]

本展では、大巻伸嗣の近年の代表作のひとつである「Liminal Air Space-Time」のシリーズをはじめとする新作インスタレーションを中心に紹介する。私たちが普段感じることができない時間や空間における境界の揺らぎ、目に見えない重力について体感することで、世界の存在そのもの、生と死、崩壊と創造などの根源的な問いに静かに向き合う時空間が生まれる。

弘前の土地と人々の記憶が堆積し、展示空間へと生まれ変わった美術館に大巻の紡ぐ再生と創造の物語が重なり、新たな風景が広がる。

大巻伸嗣 ー地平線のゆくえ

弘前れんが倉庫美術館
開催中、10月9日まで
火曜休館(5月2日、8月1日は開館)
お問い合わせ→ 0172-32-8950

百の診療所よりも一本の用水路を 中村哲の挑戦

©PMS/ペシャワール会

医師としてパキスタン、アフガニスタンで活動した中村哲は、2000年の大干ばつ以降、多くの患者たちの生活の根源にある、水不足、農地の枯渇の問題に目を向けた。10カ所以上の取水堰・用水路を建設し緑の大地を復活させ、周囲の村で農業の営みが蘇り、65万人以上の命を支えている。

本展覧会では、中村哲の生い立ちから、長年にわたる活動を追い、集大成としての用水路建設とそこで活かされた技術について紹介。そしてPMS/ペシャワール会をはじめ、現在も意志を継ぎ活動を続ける人たちの声を届ける。この世界を生きていくための道標として、彼の言葉と活動を紹介する。

百の診療所よりも一本の用水路を 中村哲の挑戦

ギャラリーエークワッド
開催中、6月22日まで
日祝、4月29日~5月7日休館
お問い合わせ→ 03-6660-6011

生誕120年 大沢昌助展

《笛を吹く童女》 1978年 油彩、カンヴァス 個人蔵

《草むらにバッタ》 制作年不詳 油彩、カンヴァス 個人蔵

大沢昌助(1903-1997)は戦前、戦後の社会背景を見据えつつ、独自のスタイルを貫いた昭和を象徴する美術家。モダン、シンプル、自由そして軽やか。そんな言葉が作品に息づいている。練馬区立美術館では最初期から晩年に至る、100点以上もの作品を所蔵しており、折にふれその芸術を紹介してきた。本展では生誕120年という記念の年にあたって、これまで紹介してきた作品に加え、作画の原点であるスケッチ類や父・三之助の作品を含む新収蔵品、調査の中で新たに発見された作品、ことに1980~90年代にかけての晩年の抽象画を含めた約120点で大沢芸術の豊かさを多面的に紹介する。

生誕120年 大沢昌助展

練馬区立美術館
開催中、6月18日まで
月曜休館
お問い合わせ→ 03-3577-1821

石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ

新作≪地獄十王図≫2022年(部分)

『いもうとかいぎ』(ビリケン出版 2016年)

化け猫や妖怪、想像上の生き物を、日本画を想起させる流麗な筆致で描きだす絵描き・石黒亜矢子。石黒の描く生き物たちは色彩豊かに美しく愛らしく、ユーモアたっぷりで、時にちょっぴり不気味な表情をたたえて瞬く間に私たちを異世界へと誘う。初の大規模個展となる本展では、画業の最初期の妖怪絵をはじめ、『いもうとかいぎ』『ねこまたごよみ』などの絵本原画を中心に、描きおろしの新作約20点を含む500点あまりを展示。石黒の描く魑魅魍魎...

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