2023年6月、渋谷パルコが50周年を迎える。その歴史は、革新的な広告の数々とともにある。3月には宣伝部が10年ぶりに復活し、「伝統と革新」をプロモーションテーマに設定。1月に発表したシーズン広告の裏側、そしてパルコが50年にわたり追求してきた広告表現のあり方、DNAとは。

パルコ 宣伝部クリエイティブチームのメンバー。(左から)草刈洋さん、本橋乃衣絵さん、手塚千尋さん(宣伝部 部長)。
新体制でデジタル戦略も強化
石岡瑛子や箭内道彦をはじめ、数々の著名クリエイターを若手の頃から企業広告に起用してきたパルコ。2023年は渋谷パルコが50周年を迎える年であり、1月には新たなシーズン広告を発表した。
MVなどを多数手がけるウクライナ人監督 Tanu Muino(タヌ・ムイノ)さんを日本企業で初めて起用したほか、これまでグラフィック主体だったパルコの広告表現をムービー主体の内容に転換した。こだわったのは共感やリアリティよりも、クリエイティビティの圧倒的な追求。ファッション業界全体がSNS主体のコミュニケーションに移行していることを受け、物語性のある映像を中心に表現している。
2023年には「宣伝部」という組織名が10年ぶりに復活したというニュースも。近年は「プロモーション部」として役割を担ってきたが、数々の企業広告の歴史をつくってきた「宣伝部」の名を冠して約30人のメンバーを擁する組織に...