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「広告」の枠を超える企業・自治体と番組コンテンツの融合

「信頼関係から予想以上の展開が生まれる」 ラジオ番組の企画の裏側

TBSラジオ『ハライチのターン!』

パーソナリティの色がそのまま反映され、リスナーとの関係性も深いラジオ番組は、“タイアップ企画だけどコンテンツとして純粋に面白い”そんなコーナーの宝庫だ。TBSラジオ『ハライチのターン!』の担当者たちに企画の進め方について話を聞いた。

「決めているのは6、7割」

毎週木曜日の24時から25時に放送されている『ハライチのターン!』は、お笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さん、澤部佑さんによるラジオ番組。2016年に開始し、現在約340回放送されている。「今週の猫ちゃんニュース」などお決まりのトークのコーナー、曲紹介などのほかに、不定期で入るのが企業タイアップのコーナー。岩井さんの歯に衣着せぬスポンサーへの物言い、それをなだめながらも奥行きを広げる澤部さんのトークが伴い、タイアップらしからぬ純粋な盛り上がりを生んでいる。

本番組のプロデューサーは『JUNK』『アルコ&ピース D.C.GARAGE』なども手がける、TBSグロウディアの宮嵜守史さん。「営業によるヒアリングをもとに、クライアントの訴求ポイント、それぞれの芸人ごとの特徴を照らしてマッチングをさせるイメージで企画を考えています」と話す。

たとえば、2022年9月にスポンサードしていたのはコープ(日本生活協同組合連合会)。コープの宅配担当者のイメージを集結させた架空のキャラクター「コープの宅配さん」がどんな人か、どんな良いことをしてくれたかを想像して送ってもらうコーナーを設けた。TBSラジオでコープを担当する久保田聡平さんは、その経緯をこう説明する。

「コープさんとは2021年の70周年のタイミングでもご一緒させていただきました。コープのTwitterの“中の人”も務める広報の方が元々この番組をよく聴いてくれていて、宅配もしているコープをもっと知ってほしい、と出稿に至りました。全国的に訴求したい、若いリスナーにも届けたいというニーズとも合致したんです」。

そこから宮嵜さんが企画を考えていった。「前提として、2021年よりも前に岩井くんが『コープのオムライスがめちゃくちゃうまい』とラジオで話していたというのもありました。コープの方もリスナーで、こうして両想いの状態で始められるのが成功する鍵だと思います。企画は、“宅配のサービスをしているコープ”と紐づけたいとのことだったので、宅配自体をいじるコーナーにしたらどうだろうと。それまでのラジオで、自然なノリで岩井くんがちょっと怪しげなキャラクターになる、っていうくだりがあったので(笑)、お笑いの担保としては安心かなと」(宮嵜さん)。

しかし広告と異なり、どこまで企画段階で内容を固めているのか、気になるところ。「この手のものって9割~10割決め込んでしまうと“遊びしろ”が無くなってしまうんですよね。だから6、7割のイメージで、こちらとして遊び方のパターンは想定しておきつつ、でもハライチには...

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