気になるあのCMの演出やキャスティングについて、ディレクターにインタビュー。今月取り上げるのは、2月に放映を開始したクラシエ薬品「漢方セラピー」のテレビCM「なんか聞こえる?」篇と「先輩の葛藤」篇だ。
細かな設定が活きる世界観とリズム感
リビングでくつろぐクマの年配夫婦。「なんか変な音しない?」と問いかける夫に、「それ耳鳴りじゃないですか?」と妻は耳鳴りの症状を疑う。耳をふさいでも音が聞こえることから、夫は耳鳴りの症状であると気付く──。「なんか聞こえる?」篇では漢方セラピーを飲んだ夫が元気になり、ペットの犬を散歩させる様子を描いた。
演出を手がけたのは、真田敦さんだ。人形を使用して1コマずつ撮影するストップモーションアニメで、ストーリーが15秒に収まるように仕上げた。「漢方セラピーのCMは、人間であれこれ表現するとリアリティが出すぎてしまうなと。キャラクターを主役にして、『もしかしたら自分にも関係あるかも』という世界観にできればいいなと思いました」(真田さん)。
キャラクターは造形のかわいらしさだけではなく、年齢や性格、職業など詳細に設定した。クマの夫婦がどんな風に出会って何歳で結婚したかまで想像し、2人の会話の中で“聞き流す言葉”と“聞き流さない言葉”を...