日本郵便が主催する第37回全日本DM大賞の入賞作品が決定した。ここでは、その中からグランプリ、金賞、銀賞に選出された作品の一部を紹介する。
金賞グランプリ
freee
テンキーチョコDMで驚きを演出 経理部をねぎらいながら商品認知
クラウド型会計ソフト「freee会計」は、新規で上場する企業のおよそ3分の1が利用しているにもかかわらず、個人事業主や中小企業のみに特化していると認知される傾向にあった。この認知を覆すべく、上場企業の多くが利用していることを訴求し、freee会計の認知向上と導入推進を図るべくDMを利用した。
上場企業は四半期ごとの決算に加え、決算月には本決算を行う。今回のDMでは本決算業務が終わったあと、上場企業の経理部員が一年で唯一気が休まるタイミング(決算開示後=決算月3カ月後)に、ねぎらいの想いを込めて箱詰めのチロルチョコを送付した。チロルチョコにした理由は、限られた予算の中でも、経理部全員へ配れるだけの数量が確保できること。また、チョコレートが差し入れアイテムとしてなじみ深いためだ。
DMは箱型の形状で、その中に経理部員が業務でよく目にしている「テンキー」を模したチロルチョコを詰めた。チョコを全て取った後に現れる箱底面には「お仕事の合間にフリーなひとときを過ごせましたか」とメッセージを記載し、ねぎらいの心遣いが伝わる演出を施した。
会計ソフトのリプレイスは3~5年周期で、すぐに導入となるわけではない。そのため、将来のリプレイス時に経理責任者になっている可能性がある経理部全員への認知を高めるべく、印象に強く残るクリエイティブを意識して作成された。
同梱した冊子には、freeeを利用している上場企業のロゴを記載し、上場企業の利用の多さが一目でわかるようにしている。DM送付後のフォローコールでは、通常のコールドコールに比べ担当者への接続率が高くなり、受付突破率は5倍以上に。「チョコを送りました」というフレーズがフックとなり会話が弾んでいくことが多く、スムーズに状況確認(ヒアリング)へ繋げることができた。また、DMの認知率も50%超と実施前の予想を超える高い結果となった。
- 広告主/freee
- 制作者/フュージョン
金賞/審査委員特別賞 クリエイティブ部門
Indeed Japan
ICE BREAK CARDで開封してもらえる工夫を
Indeedは求人情報に特化した検索エンジン。今回のDMは、デジタルでアプローチしきれない大企業の採用担当者向けに、Indeedのサービス利用意向醸成を目指し実施した。
Indeed主催のセミナーや書籍プレゼントの案内に加え、独自ノベルティとして採用面接時のトークテーマを記載した「ICE BREAK CARD」を制作し、ブランドトーンのデザインを施した箱に梱包して送付。採用担当者に開封してもらうことを最優先に考え、箱の上面に大きく「採用の切り札入ってます。」のコピーを記載した。
結果、想定の約8倍の反応が得られた。レスポンスを分析すると、約8割が新規企業であったこともわかった。ノベルティの反響もよく、複数の企業から実際に活用しているという声も届いた。
- 広告主/Indeed Japan
- 制作者/インフォバーン+DNPメディア・アート+そら
銀賞
Nano
ひとりでも、みんなとでも楽しめる 寅カルタ年賀状
年賀状を通し、デザイン制作事務所としての企画力とデザイン力を感じてもらいたいと企画。全ての絵札にトラと関連する内容が書かれた寅年のカルタ「ジョン・トラカルタ」(俳優のジョン・トラボルタのもじり)を立案し、自社で制作した。
Web上には読み札の自動読み上げ音声を配置し、一人でも複数人でもカルタを楽しめるようにした。顧客との関係継続や強化につながり、新規のDM案件やパッケージ制作案件の受注にも繋がるなど、大きな成果を得た。
- 広告主+制作者/Nano
「全日本DM大賞」とは?
日本郵便が主催する「全日本DM大賞」は企業から実際に発送されたダイレクトメール(DM)を全国から募り、優れた作品を表彰する賞。その入賞作品が、3月17日に発表となった。本年度は712点が集まり、DMやマーケティングの専門家による厳正な審査を経て、26点が入賞となった。
入賞・入選作品はこちらからご覧いただけます
成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2023
優れたレスポンスのDM具体事例を分析!戦略性、クリエイティブ、実施効果を読み解く幅広い業種のDM成功事例を解説。コロナ禍を経て拡大したBtoB領域での活用や、データドリブン時代を迎えて進化するパーソナライズ手法など、DMの最新形が一冊に。
判型:A4判
頁数:96ページ
定価:1,980円(税込)
発行:宣伝会議
発売日:4月11日
ISBNコード:978-4-88335-580-8