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日本発マンガ・アニメ市場を活性化させるクリエイティブの力

「怪獣」と「課題」を重ねて描いた BtoBの企業広告

HENNGE「HENNGE One」×「ウルトラマン」

「HENNGE One(ヘンゲワン)」をはじめとする企業向けのSaaSを開発・販売するHENNGEは2022年4月から企業広告に「ウルトラマン」を起用。顧客が抱える課題を怪獣とうまく重ね合わせたコミュニケーションを展開している。

(01)品川駅、JR東京駅、大阪メトロ梅田駅、名古屋地下鉄名古屋駅など、全国の主要駅に交通広告を展開。

決め手はストーリーや構図のわかりやすさ

HENNGEがマンガやアニメコンテンツを起用した企業広告を展開するのは今回が初めて。その背景をコーポレートコミュニケーションディビジョン マネージャー 山本有哉さんはこう話す。「当社は2021年に、タレントを起用して初の企業広告を展開しました。その際、認知は獲得できた一方で、サービスよりもタレントが際立ってしまったという課題も。また当社主催のBtoBのビジネスカンファレンスとセットで打ち出していたので、集客の側面から、短期で一気に認知を獲得する手法で展開していました。そのため22年はより時間をかけて、当社のサービスをきちんと知っていただきたいと考えました」。

具体的な企画を考える前に、あらかじめ「SaaS+1」というコンセプトを立てた。200以上あるSaaSに加えるだけで、セキュリティ強化やコストカットなどを可能にする「HENNGE One」の特長を表した言葉だ。そのうえで、「ウルトラマン」をコラボ相手に選んだ理由は、その認知度の高さと、ストーリーや構図のわかりやすさからだった。

「『ウルトラマン』は、特に当社のサービス導入の際に決裁権を持つ方々との親和性が高いと考えました。『+1』の『+』が、スペシウム光線のポーズと重なるという点も楽しんでいただけるかなと(笑)。また多様な個性をもつ怪獣をウルトラマンが倒す、というシンプルなストーリー展開は、クラウド利用時のさまざまな課題を『HENNGE One』がオールインワンで解決できる、という特性と重なると考えたんです」と、同社 デザインマネジメントセクション マネージャー 鏡雅好さんは説明する。

そこで「怪獣」と「課題」を次のように組み合わせた。バルタン星人は「増えすぎたパスワード問題」、ダダは「脆弱なセキュリティ問題」、カネゴンは「深刻な予算圧迫問題」の化身。そして解決策「HENNGE One」をもたらす救世主としてウルトラマンを描く、という構図だ。「僕らは『有識者』と呼んでいるのですが、社内にもウルトラマンの大ファンが数人いまして、彼らにも意見をもらいながら組み合わせを考えていきました」(鏡さん)。

特にテレビCMの短い尺の中でサービスのさまざまな特徴を理解してもらうには、視聴者に...

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