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日本発マンガ・アニメ市場を活性化させるクリエイティブの力

アニメ化なのにミニ枠掲載 意外性とストーリーの共有でファンを巻き込む

集英社『僕とロボコ』

集英社はマンガ『僕とロボコ』(宮崎周平)のテレビアニメ開始を記念し、12月2日から、「僕とロボコ ミニ枠ジャック」を実施した。渋谷の消火栓標識や新聞のラテ欄の小枠など小さな広告枠にロボコが登場。アニメ化にもかかわらずミニ枠という、ロボコのキャラクター性を活かした意外性のある企画が反響を呼んだ。

消火栓広告掲出の様子。縦読みや人気作品のパロディで長期間楽しんでもらえる内容に。

©宮崎周平/集英社

ロボコの人格を主体にした広告

美少女メイドロボ「オーダーメイド」が一家に一台普及した時代。平凡な小学生である主人公・平凡人(たいらぼんど)の家にも、念願のオーダーメイドが来ることになり、凡人は心躍らせていた。しかし、実際に家に来たのは、一般的なオーダーメイドとはかけ離れた、屈強で料理や掃除などの家事が全くこなせないオーダーメイド「ロボコ」。想定外で規格外なメイドロボ「ロボコ」と心優しい凡人との日常を描いたギャグマンガは、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2020年7月から連載中だ。

今回の広告出稿に至ったのは、『僕とロボコ』のテレビアニメ化(テレビ東京系列)のタイミングで「ファンの盛り上がりをつくりたい」という想いから。「ロボコは個性が非常に強く、メタ的な発言も多いキャラクターでした。だからこそ、広告においても主語をロボコにすること、ロボコが実際にやりそうなこと、をベースに企画を考えました」と広告を手がけたCHERRYのプランナー 川上大稀さん。

そこで出た企画が、今回の「僕とロボコ ミニ枠ジャック」。消火栓標識、川崎市のホームページのバナー、新聞のラテ欄、ヤマダデンキの店頭に設置されたテレビモニターを使った広告媒体「Y-Vision」など、ニッチで小さな広告枠にロボコ自身が出稿するという内容だ。さらにロボコ自身が公式Twitterで、「正直そこまで予算がないんです」と自虐するというメタ的な構造をつくりあげた。

そもそもこの文脈が成立するのは、作品としてはもちろんのこと、「ロボコ」というキャラクター自体の癖が強く、ロボコのファンも多いから。公式Twitterも編集部からの発信ではなく「ロボコ」の人格として発信しており、多くのフォロワーがいる。ロボコはTwitterでエゴサーチをすることでも有名で、ファンもあえて投稿文面に「ロボコ」というワードを忍ばせ、ロボコに見つけられることを楽しんでいる。そんな背景を活かし、今回は「ファンと一緒に盛り上げていく」という構造にした。

広告のクリエイティブも...

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