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日本発マンガ・アニメ市場を活性化させるクリエイティブの力

NY・タイムズスクエア広告ジャックの舞台裏

『ONE PIECE FILM RED』「ONE PIECE TIMES SQUARE TAKE OVER」

2022年10月8日の19時から20時(現地時間)の1時間、ニューヨーク「タイムズスクエア」の屋外ビジョンを『ONE PIECE』が広告ジャックした。映画『ONE PIECE FILM RED』の北米での公開を記念した企画だ。国内では言わずと知れた人気作品だが、北米ではまだまだ認知拡大の余地がある。話題化のための仕掛けを聞いた。

「ONE PIECE TIMES SQUARE TAKE OVER」の様子。6つの媒体での広告ジャックを実施した。

©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

史上最大規模の屋外広告

22年10月8日、19時。日が沈みネオンが光るタイムズスクエアのビジョンのうち、特に目立つ6つがカウントダウンを始めた。数字に合わせて、声を上げる見物客たち。風に飛ばされ漂う麦わら帽子が現れたかと思うと、次の瞬間には「WANTED」と書かれたお馴染みの手配書が張り巡らされた。『ONE PIECE』史上最大規模の屋外広告であるこのジャックは、バンダイナムコエンターテインメント(BNE)とADKマーケティング・ソリューションズが主導したもの。映画の製作委員会にBNEとADKエモーションズが参加しており、ADKグループが広告を担当することになった。

そもそも、なぜ「タイムズスクエアの広告ジャック」をすることになったのか。バンダイナムコエンターテインメントの花井雄二朗さんはこう説明する。「『ONE PIECE』は言わずと知れた日本ナンバーワンのIPです。今回『ONE PIECE FILM RED』が北米でも公開されることになり、前例のない規模の告知をして、アメリカでも大ヒットを狙いたいと考えていました。現地法人のBNEアメリカと共に、海外の方々の心に届けるにはどのような表現が最適か、議論を重ねていました」。

メディアバイイングは日本とアメリカのBNE、広告のクリエイティブをADKグループが担当という役割分担のもと、動きはじめた。広告枠は6つのビジョンを4社から買い付けた。

その様子を記録した映像(約2分40秒)より。

©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

日本と北米で異なる点は?

クリエイティブを主に担ったのはADKクリエイティブ・ワンのクリエイティブ・ディレクター 實野圭佑さん。「僕は現地に行ったことがなかったので、それぞれのビジョンの距離感がわからなくて。ストリートビューで確認しながら映像をつくっていきました」と振り返る。

映像は約2分。19時から20時の1時間に30回連続で放映した。「『ONE PIECE』自体の認知度が日本国内よりもまだ低いので、どういう作品かを伝える複雑すぎない構成にすることを意識しました。また、タイムズスクエアには子ども以外ももちろん訪れますし、幅広い年齢層の方々に映画を観てもらいたいと考え、大人が見てもスタイリッシュでかっこよく感じられる...

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