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感じるブックジャケット(AD)

お米のもみ殻を使ったサステナブルな紙でブックジャケットを制作

汐田 瀬里菜「REVERSAL」

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

お米のもみ殻を使うサステナブルな紙

2022年10月、お米のもみ殻を混ぜ込んだファインペーパー「Rems スタンダード-FS」が登場した。原材料由来の自然な風合いがあり、滑らかな手触りが特徴だ。Rems(リムス)は「Re Material System」の略で、企業の製造活動の中で生まれる残渣(ざんさ)を紙の原料として再利用する、大王製紙の混抄紙(こんしょうし)製造システムの名称。特に環境配慮に対する意識が高い企業やデザイナーなどからの問い合わせが増えており、今後、お米のもみ殻以外の残渣を使用した製品の開発も予定されている。

そんなサステナブルなファインペーパーを使ったブックジャケットを手がけたのは、汐田瀬里菜さん。最近ではブランディングの仕事に多く携わる中で、ユーザーにも地球にも優しい素材を使ったデザインが求められる機会が増えてきたという。今回制作したのは、「反転」を意味する「REVERSAL」。お米のもみ殻と対比するように「絵柄の抜け殻」の数々をグラフィックにした。鳥や花、葉っぱなど、自然にあるものを思わせる造形をハサミで切り取り、本来は捨ててしまう部分を利用することで「Rems」の特徴と重なるビジュアルに仕上げていった。

「これらは本の中の世界にあるものが飛び出してきたイメージ。切れ端のいびつな感じや、切りっぱなしの部分をあえて残しています」(汐田さん)。絵柄の部分はシンプルな黒のUVオフセット印刷とデボス加工を施し、紙そのものの質感を感じられるように。さらに背表紙を斜めに横断するようにタイトルの「REVERSAL」をあしらった。

実際に本に巻いてみると、角度によって変わる見え方を楽しめる。「読むと心が落ち着く、自分の原点や原風景が広がる一冊が誰しもあるはず。そういう大事な本に似合うブックジャケットになっていたら嬉しいです」(汐田さん)。

TO NINE「SENN」アートディレクション、デザイン。

イー・エス・エス「USS BY PAPAWASH」アートディレクション、デザイン。

    今月使った紙:Rems スタンダード-FS

    お米のもみ殻を再利用し、紙の原料の一部として混ぜ込んだファインペーパー。原材料由来の自然な風合いが魅力です。企業の工場などにおいて発生するさまざまな残渣(ざんさ)を再利用し、オリジナルの混抄紙(こんしょうし)を製造するシステム「Rems(リムス|Re Material System)」を利用してつくられています。

    https://rems-paper.jp/

汐田 瀬里菜(しおた・せりな)
1986年生まれ。2010年多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業。2011年より株式会社キギを経て、2019年に独立。

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